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VALUの新規事業。飲食店の会員権を売買できるサービス『Fundish』のプレスツアーへ

クリエイターや起業家など、さまざまなジャンルの個人を支援できるSNS「VALU(バリュー)」を運営している株式会社VALUが、新たなサービス「Fundish(ファンディッシュ)」をスタートする。

スタート時には3店舗がエントリー

友人がPR顧問を務めているため、10月に会員権が発売される3店舗(店舗情報は順次公開予定)を巡回するプレスツアーに参加した。そのうち2軒は現在も会員制としてオープンしており、1軒は新規オープン。3店舗ともVALU代表小川さんの個人的な思い入れがあるよう。それぞれユニークなコンセプトを掲げており、会員制のお店らしいスペシャル感を演出している。

fundishは、飲食店は会員権を発行・販売することで、開業に必要な資金をクラウドファンディングに近い形式で募ることができる。会員権はユーザー間で売買することも可能。それにより買い切り完結型が多い既存のクラウドファンディングとの差別化を図っている。また、売買を実現することによって会員権には時価がつき、市場価値が高まっていく。

出資者には、出資額に応じて会員権が発行され、まず店を優先的に予約できる特典が得られるとのこと。

小川さんにこのサービスが思いついたキッカケを聞くと「もう変態的としかないような熱さで道を極めようとしてる人を応援したくなって」と。さらに、自身が会員制の店をこれまで利用してきた結果、会員同士の権利の売買というアイデアが浮かんだのだと言う。会員権をストックオプションのようなかたちの従業員報酬として活用することも想定しているとか。

基幹事業VALU のサービスの根本的理屈をどうにも理解しきれない私なのだが(苦笑)、Fundishのサービスはその点、理解しやすい。心理的障壁が低いと言うべきか。こちらはブロックチェーンではなく、日本円でのやりとりになるそう。

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店の価値を決めるのは誰?

現代アートの作品が作家の手を離れ、売買される度に想像を超える価格の急な高騰や乱高下を見せることがある。映画『アートのお値段』の中に登場するアーティストは、自分の作品がお金儲けの道具になっているあり様に「もうわたしには何のことだか」と苦笑いするシーンがあった。

店と会員の関係は、アーティストとパトロンの関係に近いあり方。あるいは、タニマチ。会員権所有者はあくまで贔屓にしてくれる客であり、無償スポンサーであり、活動を応援するというスタンスで。会員権の売買ありき、投資目的が先行しすぎることがないようになればないな、と。これはあくまで私の意見であり、部外者の身勝手なロマンの押しつけではあるけれど、このサービスにおけるアーティスト、シェフやバーテンダーの方々が置いてけぼりにならないサービスに育てばよいなぁ、と思う。

応援したくなる人、店って?

よく行く店のマスターに、アメリカでビールづくりに奮闘している若者の話を聞いた。なんでも以下のプロジェクトにも一役買っているとか。話を聞いているうちに、これから彼のつくるビールづくりに加勢できるなら、そして思いがつまった希少なビールのご相伴にあずかられるなら応援したいなと、まだ見ぬ若者に心惹かれてしまう(アルコールはほとんど飲めないけれど苦笑)。

そして、先日行ったレストランのソムリエは「茶」にハマっており、中国の奥地に生育するらしい幻の茶について話してくれた。なんでも、“お茶酔い”という言葉もあるくらいで、そういう茶はアルコールのように酔えるんだそうだ。さらに、そのようなお茶は中国では信じられないくらいの高値で取引され始めてる。今、ニューエイジたちは、ワインのブドウじゃなく、茶の栽培を始めてる……などなど。そんな話をしながら彼は希少なお茶を自らが編み出したらしい理論で淹れてくれた。野性味あふれつつも果実のような味わい。「ヴィンテージの烏龍茶ですよ」と彼は言った。ワインのように、産地や年代、生産者でお茶が語られる時代がくると彼は断言する。たった一杯のお茶体験だったけれど、彼の考えに賛同せざるを得ない鮮烈な舌の記憶。投資をして彼のこれからの茶道を見守っていきたいな、と咄嗟に考えてしまったほどだった。

私は、どうやら人の熱量に投資したくなるタイプのようだ。

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客を限定する意味とは?

たとえば希少な素材を扱うゆえに、もてなせるキャパシティに限界がある場合。または、自分の熱量を理解してる客だけに自分の味を届けたいと考える場合もあるだろう。さらに、店側はオープン前に資金調達できるだけでなく、ファンコミュニティを醸成することができる。その安心感はかなりと本来のクリエイティブ活動に没頭しやすくしてくれるはずだ。

客側は、大好きな店を、気になるシェフを、そして何かにチャレンジしたい人を応援して味わえる高揚感が最大のリターンとなる。同じ店を愛するセンスを持つ仲間と集うことに意味が出てくるかもしれない。そして、副産物として会員権の価値が高騰する可能性もある。さらに、スペシャルなイベント体験など会員特典も今後どんどん検討されていくだろう。

このサービスを通し、店側と客側が互いに継続的コミュニケーションをとり、店舗運営が活性化するハッピーサイクルを果たして創出できるのか。今後、サービスに参加する飲食店、料理人選びが成功のカギを握るになることは間違いない。どんなムードが漂うサービスに育つのか、注目していきたいと思う。





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