天気に「忖度しろ」って言えないように
今夜は、福岡市天神で開催される、「さとゆみゼミ・九州同窓会」に参加する。午前中だけ仕事をして、午後からお休みを取って福岡へ向かう。職場から駅まで歩いて10分。ふつうなら駅まで直行するところだが、今日ばかりは一度家に帰る必要があった。
午前中、市長への挨拶がありスーツ着用が必須だったのだ。動きやすい服装に着替えて福岡へ向かいたかった。とはいえ、10分ちょっと歩けば家に帰れるので、大したことはない。
オフィスでお昼を知らせるチャイムが鳴ったと同時に、「すいませんーー、お疲れさまですーー」と言って席を立った。建物の扉を開けて外に出ると、白々しくどんよりと沈む空に気づく。
小さな水滴が腕に当たるのを感じた。足早に横断歩道を渡り、数分ほど歩くと、はっきりわかる雨粒が頬に当たる。家までの距離3分の1くらいまで来たときには、傘が欲しくなるほどの雨足だった。
「もうすぐで家に着くのに……」。ちょっと待ってよぉー、と腹立たしくもなるが、自然や神に腹を立てても仕方がない。そもそも、天気予報をチェックせず、東京旅行で買った折りたたみ傘を家に置いてきた、私が悪いのだ。
天気に忖度しろ、なんて言えないもんねぇ。
そう考えたとき、高校生の次男とケンカした昨夜のことを思い出していた。
彼がテレビでYouTube動画を見ていたのだが、その面白さが理解できない。うちの家族は揃ってリビングで過ごすので、その動画の音がずっと耳に入ってくる。言ってはいけないと思いつつ「それの何が面白いの」と言ってしまった。
機嫌が悪くなった彼は、大きな音を立てることで自己主張し始めた。部屋から持ってきた問題集を机の上に置くときも、投げるような置き方をする。ドスンドスンという音に我慢しかねた私は、「モノを投げるな」と叱る。すると彼は言い返してくる。その様子を見ていた夫が、親になんて言い方をするんだ、とまた怒る。
こんな感じで大ゲンカになってしまった。まぁ、次の日にはみんなケロっとしているんだけど。次男はいま、「ザ・反抗期」って感じで、まあまあ面倒だ。
この雨みたいなものかな。
ポツポツと振り続ける雨に打たれながら思う。思春期とか反抗期は、ホルモンの影響が大きくて自分ではどうしようもないときがある。専門的なことはわからないけど、自分が高校生だったころを思い出してみると、間違いなくそうだ。理由もなく腹が立ったり、悲しかったり。とにかく眠いしお腹も減ってた。
ホルモンが誘発する感情がいっぱいになって飽和して、外がわにじわりと溢れ出す。それを受け止めてあげられるのは、親くらいかもかもしれない。
反抗期にだって、忖度しろとは言えないか。