見出し画像

欲しいものを手にいれるコツを子に話す

2024年3月23日に、佐藤友美さん主催「さとゆみゼミ」を卒業。卒業後も、文章力・表現力をメキメキと上げ続けるため、仲間と共に、note投稿1,000日チャレンジをスタート。

Challenge #35

今日は日曜日。お昼を食べにケンタッキーフライドチキンに出かけた。部活から帰ってきた次男も、すぐに友達のところに遊びに行きたそうだったが、食欲に負けてついてきた。


昨日までわたしと次男、ケンカをしていた。というのも、体調が悪くて(旅行帰りに電車酔いして)寝込んでいるわたしに「ねえ、スマホ返して。勉強するのに使う」と、次男がひつこく言ってきたので、腹を立てていたのだ。(旅行前に、次男のスマホの使いかたを注意して反抗してきたので、没収していた)

体調が悪いのと、次男の自己中(に感じた)でさらにイラつき、絶対に返してやるもんか!という気持ちになっていた。


で、今日。ケンタッキーを食べられるほどに元気になったわたしは、すでに落ち着いている。ペッパーマヨツイスターの包み紙を破りながら、あのときの気持ちを彼に説明しようと思った。肉と油を十分に摂取し、アドレナリンが出ている今なら、スムーズに話を聞いてくれそうだ。

「あのさ、欲しいものを手にいれるコツ、教えようか」と切り出す。

次男はチキンにかぶりつきながら、上目づかいにわたしを見る。

「たとえばさ、すっごい好きな人ができたら彼女にしたいやん。(うん、と頷く次男)それでも、いきなり『彼女になって!』は良くないわけよ。君がめっちゃイケメンで、向こうがすでにスキーってなってたら別やけど」。

にやっと笑う彼。おお、このたとえ話はポイントをついているかもしれない。勢いづいて話しつづける。

「まずはさ、優しくする。そしたら、その子も『あれ、この人わたしのこと好きなのかな』って意識するやん。でもすぐに『付き合って』なんて安直に言わない、我慢せな。大切に優しくしてたら、『Hくん(次男の名前)、すごく優しいけどわたしのこと好きじゃないのかな。付き合ってって言ってくれれば良いのにぃーー』って思い始めるわけよ、その子も。そんなふうに彼女の心の土壌が整ったなーと思ったら(語調を強める)、『好きだよ。付き合って!』って言う。そしたら、『うん♡』ってなるやん。まぁ、嫌われてなかったらの話やけど。」

男女の声色を使い分けながら、かように一人芝居するわたしを、嬉しそうに照れながら眺める次男。

その話を、昨日のスマホ事件につなげる。

「欲しくてもすぐに欲しいと言わず、相手のほうから渡したくなるようにするには、どうすれば良いか考える。昨日のスマホの件、どうすれば良かったと思う?」とたずねるわたしに、「まず、具合悪いあいちゃんを心配すれば良かった」と次男が答えた。(わが家の子どもたちは、わたしを名前で呼ぶ)

「そうそう、スマホ返してもらおうっていう下心あったって良いし、本当に心配してなくてもいい(だってただの電車酔いだし)。寝込んでるわたしに『スマホ返せ』って言いつづけたら、絶対返したくなくなるやん、逆効果」。


「お父さんなんて、2年間もわたしに『好き』って言ってくれなくてさ。我慢できんで、わたしから告白したとよーー」

20代の独身時代、わたしと夫は福岡の書店でアルバイトをしていた。夫のことが大好きだったわたし。当時、どれだけ夫に「好き」をアピールしたか、次男に説明して聞かせた。

手料理を作ってバイト先に持って行ったり、バレンタインチョコは明らかに他の人より大きく高価なものをあげたりとか。それでも、彼はわたしに興味がないふうだった。「あれ、優しい♡」の日と「わたしのこと全然興味ないやん」の日が、3:7くらいの絶妙なバランスの2年間。

彼が故郷の佐賀に戻るというので、思い切ってわたしから告白したのだ。あとから分かったのだが、夫もわたしのことを好いていてくれたらしい。佐賀に帰る直前に告白しようと思っていたそうだ。(振られても次の日から会わなくていいという保険でもあったとのこと)

話を聞きながら、次男はにやっと笑い夫を見やる。残ったポテトをかじりながら、思わぬ飛び火に、うつむき照れ笑いする夫であった。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集