休憩時間に業務対応をさせることはできるか
おはようございます。弁護士の檜山洋子です。
先日は、弁護士会の会派イベントで、カラーコーディネートの話を聞いてきました。
弁護士はダサい人が多いってことで、こういう企画が催されたわけですが、カラーがどうのこうのというよりも、上質な天然素材を身に付け、過剰な電磁波を浴びないことが健康維持につながることを学びました。
そして、色によって人体にも精神にもいろいろな影響があることを知りました。
壁紙も真っ白よりは少し暗い色の方が落ち着くし、そこに佇む人間が美しく見えるらしいです。
それに一番驚いたのは、関東と関西とで太陽光の届き方が違うそうで、大阪のケバケバファッションは理に適ったものであるということでした。
沖縄のハイビスカスも沖縄にあるからこそ美しいんだそうです。
色って、奥が深くて不思議な存在ですね。
さて、今日は、休憩時間にすぐに出動できるように待機させられていたから休憩時間も労働時間だとして、未払時間外手当て等の支払いを求めた事案において、当該事案においては労働時間性がない、と判断された裁判を紹介します。
この裁判では、原告らは、企業警備等の被告会社に雇用され、退職するまで新幹線沿線警備業務に従事していました。
午後7時から翌日の午前7時15分または午前9時50分まで、2時間の休憩時間を除く10時間15分または12時間50分が労働時間でした。
このような勤務体制の中、原告らは、休憩時間中も携帯電話で出動要請を受け、15分以内に現場に到着しなければならないこととされていたとして、未払時間外手当て等の支払いを求めて提訴しました。
静岡地方裁判所(令和4年4月22日判決)は、以下の理由で、本件の休憩時間は労働時間とはいえないと判断しました。
まず、仮眠時間中も労働界の解放が保障されていなければ労働時間に該当するが、仮眠時間中、労働契約に基づく義務として、仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務づけられ、実作業への従事がその必要が生じる場合に限られるとしても、「その必要が生じることが皆無に等しいなど、実質的にこのような義務付けがされていないと認めることができるような事情が認められる場合」においては、労働基準法の労働時間には該当しない、という規範を明示しました。
そして、本件においては、静岡隊の隊員が休憩時間中に出動要請を受けたのは、近年では隊員一人当たり2年に1回程度しかなく、いずれも休憩時間中に出動した後、代替の休憩時間を取得していること、被告会社の警備業務はJRの線路等保守点検の補佐的役割であり、勤務時間中も含めた静岡隊への出動要請は年10回前後であったこと、休憩時間中は自由に過ごすことが許されており、原告らもトイレやコンビニに行くなどして自由に過ごし、管理者から注意を受けることもなかったこと、などの事情から、休憩時間に労働が義務付けられていたとはいえない、としました。
この判決では、労働時間かどうかの判断について、実際、労働者がどの程度拘束されていたかを具体的に見てしています。
人手の少ない会社においては、どうしても休憩時間を100%休憩させることが難しいこともよくあると思います。
例えば、電話がかかってきたとか、突然の来客対応とか・・・
しかし、休憩時間に気軽に働いてもらっていると、時間外労働に対する割増賃金を支払うことになりますし、なにより長時間労働の弊害が出てしまいます。
休憩時間には、従業員の行動の自由を最大限に確保し、万が一、どうしても業務に従事させなければならない突発的なことが起こってしまった場合には、代わりの休憩時間を必ず与えるようにすることが大切ですね。
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