労使委員会
おはようございます。弁護士の檜山洋子です。
使用者と従業員との間で何か決め事をしようとするとき、出てくるのが「労使委員会」という存在です。
労使委員会とは、賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項に関し意見を述べることを目的とする委員会です(労働基準法38条の4第1項本文)。
委員会の委員は、①使用者と、②事業場の労働者を代表する者、です。
委員の半数は、当該事業場の労働者の過半数を組織する組織する労働組合によって、労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者によって、人気を定めて指名される必要があります(労働基準法38条の4第2項1号)。
管理監督者(労働基準法41条2号)は、労働者側の代表委員にはなれません。
委員会の議事は、議事録を作成して3年間保存する必要があります(労働基準法38条の4第2項2号、106条)。
使用者は、労働者が労使委員会の委員であること若しくは労使委員会の委員になろうとしたこと又は労使委員会の委員として正当な行為をしたことを理由として、不利益な取扱いをしないようにしなければなりません(労働基準法施行規則24条の2の4第6項)。
労働基準法上、「労使委員会」という単語は使われていません。
労使委員会を示す説明としては、
「賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)」
という規定のしかたになっています。
そして、この委員会は、裁量労働のみなし制(一定の専門的・裁量的業務に従事する労働者について実際の労働時間数にかかわらず一定の労働時間数だけ労働したものとみなす制度)と、高度プロフェッショナル制度(高収入で自己管理型の高度なプロフェッショナル社員に労働時間等の規制を及ぼさないこととする制度)を採用する事業場において設置することが求められています。
裁量労働のみなし制や高度プロフェッショナル制度は、労働者の利益を大きく侵害する危険性を伴う制度であるため、特別に労働者側の意向を十分に反映させる必要があるからです。