シェア
生まれたままの姿で、水中で 過ごす。肺が強いのか、たぶん平均より長く息を止めてられる。脚…
日が暮れた頃の 赤レンガ倉庫が キミは好きだと 言っていたね。 日曜日の朝7…
高2の時、クラスに転校生が入って来た。席は私の隣り。「小川波瑠です。 よろしく」礼儀正し…
大きなガラス窓。 その向こうに貴女は居た。 そこは貴女が仕事をしている 可愛いカフェだ。 入…
「えっ。高校の同窓会に出席するの」「うん。行こうと思ってる。 斗亜も参加するだろう?」「…
年の瀬の冷え切った風が、辺りを 凍えさせる。 生きているのか、そうではないのか。 枯れた草…
いたっ! 痛った〜い。 ひょっとして歯が割れた? 嫌だそんなの。 「詩、歯がどうかしたの?さっきも氷をガリガリ噛んでたでしょう」お母さんって、どうして分かるんだろ。 「ちょっと見せて。口を開けて。はい、あ〜ん」 私は小さい子じゃないんだから、もっと違う云い方をして欲しいな。 「ぶつぶつ云わないで早く」私は渋々、口を開けた。 「ほら〜。歯に詰めてたものが取れちゃってる。だから氷を噛む癖を直しなさいって、お母さん、いつも云ってるでしょう?」 癖なんだから、簡単には直らないんだも
今年も酷暑の夏。 まだ過去形ではない。 秋の彼岸近くなっても、今なお陽射しが強い。 (海…
大きな風船が、夏風に揺れていた。「お母さん、あの大きな風船はなぁに?」「あれはね、アドバ…
〈昼休みなんか、いらない〉 僕は小学校の時から、そう思って来たし、社会人になった今でもそ…
最近、目眩が多くなった。 アラフィフにもなれば、更年期になっても不思議ではない。 砂田小春…
「う〜ん」朝から杏奈の唸り声が訊こえて来る。席が隣りの私は、もう慣れっこだ。シナリオラ…
夏が近い海の色。江ノ電には、よく乗ったね。 でも。 一人で乗ったことは、なかった。 今日…
「杏奈は子供の頃、タンポポの綿毛が耳に入ると、聞こえなくなるよって云われなかった?」 昼休みに友達の梢に訊かれた。「懐かしい。そう訊いてたよ。実際の所、どうなんだろう」 「迷信だった。わたしなんて、綿毛が飛んでるとビクビクしてたのに」 私は笑いながら、教室の窓から外を眺めた。高校を卒業したら、この景色も見られなくなる。 相模湾が、遥か遠くに少しだけ見えている。本当に少しだけど、私のお気に入りの景色だ。 次の春が来たら、私もいよいよ受験生になる。ここからの景色を、心に焼き