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洛田二十日『ダキョウソウ』の切なさ、儚さ、大喜利、変人

洛田二十日(らくだ はつか)さんの短編集『ダキョウソウ』(光文社)を読んだ。

わたしは「百番」が好きです。笑ったわ!洛田二十日さんは、「こんな作詞依頼は嫌だ」みたいな、大喜利みたいな作品が得意だよね。

「百番」の最後がすごく良かった。きれいにまとまったね!この本の最後を「百番」にすれば良かったんじゃないの?と思ったけど、でもそのあとに「燻された夜に」を読んだら、やっぱり「燻された夜に」が最後で良かったと思った。最後に余韻が残るから。

「燻された夜に」は、若いころの切なさと儚さがある。洛田二十日さんたまにこういう若いころの切なさと儚さを描くよね。「燻された夜に」からは『ずっと喪』の「つきのうら」と同じ空気を感じる。洛田二十日さんは感情の機微を描くのがうまい。

洛田二十日さんが書く短編のほとんどは、SF的な突拍子もない設定のある世界が舞台だ。しかし「百番」と「燻された夜に」は、SF的ではない現実的な世界が舞台だったし、「つきのうら」は月の設定だけ非現実的で、それ以外は現実的だった。それでもわたしは、この三作が好きだ。

わたしが洛田二十日さんの作品から感じる魅力は三つある。一つは感情の機微、特に切なさと儚さ、一つは大喜利的な発想、そしてもう一つは変人の愛嬌だ。洛田二十日さんの作品に登場する変人は、意味不明なのに、愛嬌がある。「燻された夜に」の古谷さんはまさにそうだ。

洛田二十日さんの短編ではSF的な突拍子もない世界の設定が目立つが、わたしはそれよりも、この三つの要因のほうに大きな魅力を感じている。

『ダキョウソウ』のAmazonのページはこちら。

『ダキョウソウ』の光文社のページはこちら。

洛田二十日さんの Twitter (現・X)は こちら

短編集『ダキョウソウ』の表題作「ダキョウソウ」は、現在 note で無料公開されています。

洛田二十日さん、次の作品も、楽しみにしています。

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