痩身エステで分解された体脂肪はいずこへ
エステの招待券をいただき、
とある有名エステサロンに行った時の話。
各コースから自分の好きなメニュー1つを
どれでも選べるということで、
私は「お腹・ウエストコース」を選んだ。
そういえば、シドニーに住んでいた頃、
エステサロンでエステティシャンとして
働いていたことがある。
そこでも、とにかく
揉んで叩いてひねって脂肪を撃退するという
定番の痩身メニューがあり、
顧客よりも先に私の方が
痩せていってしまうほどの体力勝負の仕事であった。
オーストラリア人は
こしょばがり(くすぐったい)なので、
このメニューを受けるのは、もっぱら
現地に住む日本人だけであった。
それから十数年後、
今の最新技術はどんなものかな?
そんな期待もあり、
楽しみにベットに横になった。
出てきたのはなんとも大がかりな機械。
高周波だの低周波だの、超音波など、
色んな説明をしてくれたのだが、
これっぽっちも頭に入ってこなかった。
なぜって、担当のエステティシャンが
水トアナ似の太ったお姉さんだったからだ。
たいそう凄い機械なのかも知れないが、
そのエステティシャンは自分に使ったことが、ないのだろうか、
それとも、見掛け倒しの機械なのだろうか、
そんな事ばかり思ってしまうのだ。
「ではこれから脂肪を分解していきますね」
エステティシャンのお姉さんがそう言うと、
機械がピカピカ光り静かな音を立て始めた。
「分解した脂肪はどうなるんですか?」
知っていたけど聞いてしまった。
「溶かして血中に流してエネルギーとして消費されるんです。」
「エネルギーとして使われなかったらどうなるんです?」
問題はそこだ。
今の最新技術により、
画期的な方法で脂肪を分解したとしても、
それが血中に流された後、
エネルギーとして消費されなければ、
お腹だったらお腹に、
二の腕だったら二の腕にと、
一度は分解された脂肪が
また元の部位に戻ってきて、
体脂肪として再び脂肪細胞に
ストックされてしまう。
「エネルギーとして使われなかったらどうなるんです?」
この質問は、
もしかしたらものすんごい技術で、
血中に流された後の
脂肪の処理も出来るんじゃないかと言う
期待を込めて聞いたのだが、
「エネルギーとして使いきるためには、
この後、走って帰る のが一番ですね」
とびっくりする答えが返ってきて、
私は、一瞬でそのお姉さんを
好きになってしまった。
なんてドストレートな答えなんだ。
エステで気持ち良くなったにも関わらず、
痩せたいのなら走って帰れ、とは、
たかの友梨の耳に入れば、
市中引き回しの刑である。
だけど、理屈はあってる。
それしかない。
脂肪を溶かして血液に流してやったんだから、
後は自分で有酸素運動でもして、
それをエネルギーとして使いきってくれ
という話である。
脂肪を溶かして揉んで摘まんで
コネコネマッサージすれば、
その時は、引き締まった感が
見た目にも現れるので、
あたかも一回で痩せたかように
勘違いしてしまうのだが、
実のところ、ただ脂肪が一時的に
どこかに移動しただけで
2~3日もすれば元通りなのである。
エステティシャンのお姉さんは、
その痩身マシーンを
幾度か自分に使ったことはあるのだろうが、
それ以外運動も何もしていなかったことは
その体形が全てを物語っており、
エステだけでは痩せないよということを、
身を持って伝えてくれていた。
言っておくが、
私は痩身エステを否定しているのではない。
確かに、
脂肪を分解するのが苦手な体質の人もいる。
そういう人には、
マシーンの力を借りるのも1つの手である。
痩身エステは、
食事をコントロールし、
痩せるための適度な運動、
それらの効果をさらに加速させるための
1つの手段ととらえ、
けっしてエステだけでは痩せない
ということを言いたいだけだ。
食事だけでも、ダメ
運動だけでも、ダメ
エステだけでも、ダメ
サプリだけでは、もっとダメ
「だけ」と謳っているものに、
痩せる近道はないのである。
Yoko
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