- 運営しているクリエイター
2024年10月の記事一覧
バベる 新屋 喜奈の場合 ③
お目当てのカフェ。トライデント。
エレベーターの扉が開くとすぐに店内になっている。赤い絨毯がひかれていてカフェというより喫茶店の趣きだ。
コーヒーの香りに混じって少しタバコの香りがする。世の中の人が言うほどあたしはこの香りが嫌いじゃない。大人の香りって感じがするしそれなりにタバコの香りがする人は素敵だと思う。
「いらっしゃいませ。どちらの席でもどうぞ」
落ち着いた雰囲気のマスターが声をかけてきた。
バベる 新屋 喜奈の場合 ②
授業も終わり放課後になった。
ようやくわたし達が大人の手を少し離れて自分達だけになれる時間。
昼と夜のほんの一瞬だけ訪れる夕方のような時間。
クラスの男子達は駅前に行こうだとか彼女の誕生日が近いだとかそんな話題で盛り上がっている。
わたしは19時から予定があるがそれまではフリーだ。昼食の時に話したカフェに由奈と紗奈と行く事にした。
「喜奈りーぬー。カフェの時間だよー」
「分かってるよ。19時
バベる 新屋 喜奈の場合 ①
多分だけどさ。きっとだけどさ。ううん。絶対だと思うんだけどさ。
人間って他人からの期待に応えられる様には創られてないと思うんだよね。
だって自分が想い描いた事すら叶えられるか分からないワケだし。
夢とか希望とかって自分が自分に課した期待なワケでしょ。それすら叶えられないのに他人からの期待に応えられる程の余裕は無いよね。
自分の期待に応えられないのにそれは絶対だと思う。
新屋 喜奈(にいや きな)