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2024年8月の記事一覧
Word 13 少し晴れる雲
私の心にはまだ少し雲がかかっている。
私達は森を進む。何事も無ければ3時間程で塔には着くらしい。休み無く歩けばの話。
何回休憩しただろうか。少し歩いては休憩。少し歩いては休憩。
私はたまらなくなってしまっていた。
「イズ?これって休まなくて良くない?」
「ラヴ?さっき休んだじゃない?」
何回言っただろう。
「魔女の護衛なんて神代七にとって最大のイベントなんでしゅよ」
「足が棒になっちゃうわ!BOU
ラヴ・ラヴ 過去の道標
アタシが最初に子供を保護したのはホンの気まぐれ。ホントに気まぐれだったのよ。今じゃ信じられないけどガキは大嫌いだったわ。うるさいし、役にたたないし、いる意味なんてホントに無い存在だと思っていたわ。ホントに。
アタシの親は愛に溢れた人だったわ。可愛がられた記憶もある。不自由は無かったし不自由があったとしてもそれも享受してたわ。アタシはバカだったから。親に愛されてるって思っていたわ。15歳でアタシが
Word 12 金星と涙と森の中
翌朝。
いつ寝たのか全く記憶に無い。私は床で目を覚ました。
ハルカ。なんて格好で寝ているの。色々こぼれてる。
イズ。ベッドでキチンと寝ている。THE寝相良い人!
私は寝るのが嫌いだ。息してるかしてないかの違いで死んでるのと変わらないとおもってしまう。
とりわけ夢を見るのは嫌いだ。
夢なんて得体がしれなさすぎる。デジャヴとかも気持ちが悪い。
ハルカとイズは何か夢を見たりしているのだろうか。
不意にハ
Word 11 あちらとこちらと
少し前
「あー。送り込んだ子達やられちゃったねー。オブザーバーが言ってるよーまぁ予想通りっていうか当たり前っていうかさー」
正位置、額、カチューシャの様にとメガネを3つかけた男は気怠そうに話した。
「まぁ良いでしょう。兵隊はまた増やせば良いだけの事。我々支援者の悲願。もうすぐ叶う手前まで来ているのですから」
執事風の男が丁寧な口調で話す。
「障害はめんどくさければ」
「めんどくさい程良い!!」
似
Word 10 私の。
ハルカが片付けをしている間。
G太郎に連れられて両足の無い男が地下室に運ばれて来た。
「連れて来たぞ」
「ご苦労でしゅ。そこに」
イズが指し示した所は椅子があるわけでもないレンガの床だった。
「ジョー?治療してやりなよぉ?」
キャピタルが男の方を憐れみに満ちた目で見ながら話した。
「了解ッス!ワード解凍!H!(ヒーリング)!」
男の両足が一瞬で生えてきた。言葉にするとそうなんだけど。最初からあった
ハルカ 桃太郎と鬼と私
当たり前の話ですが。私には父がいて。母がいます。父は日本という国で産まれて旅行者だったインテレクトの母と出会い恋におちた。そんなありふれた普通過ぎる程に普通の両親の元に私は産まれました。
普通でなかったのは母は父と私を微塵も愛していなかった事でした。
幼い頃。私は父の故郷で過ごしました。父の故郷はとても田舎の小さな集落でした。海が近く、海岸からは島が見えていました。
桃太郎という童話が日本には