ピッコロモンド 高峰秀子の思い出
高峰秀子は松山善三と結婚後、女優の仕事を半分に減らし、ようやくのこと本来の自分を実現し始める。その際の二本の柱は、文筆、そして十代のころから集めていた骨董品であった。
高峰秀子は、子役として五歳から仕事漬けで学校へ行っていない。簡単な計算が生涯できなかったし、結婚当初、この世には辞書というものがあり、分からないことは「辞書を引く」のだということを知らなかった。しかし、文才は隠しようもなく花開いた。出会った偉人達、谷崎潤一郎、梅原龍三郎は言うに及ばず、土門拳、黒澤明、自分が