「ありがとう」が伝えられなかった君へ
わたしには、30年以上経ったいまでも、ふと思い出す、忘れられない人がいる。
小学校時代の同級生だった男の子。名前は"ゆずる"くんという子だ。
ーなぜ忘れられないのかー
さかのぼること小学4年生。
幼い頃のわたしはいじめられっ子だった。幼稚園のころから始まったいじめは小学4年でピークを迎える。
スコップで頭を叩かれたり、クラスの女子全員からシカトされたり、廊下ですれ違いさまに聞こえるように影口を叩かれたりetc.「陰湿ないじめ」エピソードはここには書ききれないほどある。
よくあるスクールカースト上層部の子にターゲットにされ、他の子は完全傍観といういじめの構造だった。
そして運の悪いことに、当時の担任がまだ新任くらい若かったのもあってか、先生というより友達のようなかんじで生徒の話を受け流すような人で。
カースト上部グループの肩をもち、わたしの給食をわざと減らすなど、あきらかにいじめに加担するような行為もみられた。
クラスで起こってるいじめを放任するような。
その証拠に小5で担任変わって、その先生がビシッと取り締まってくれたからクラスの雰囲気もかわって、いじめっ子への目が厳しくなったことで陰湿ないじめはなくなったからね。やっぱり先生って大事なんだなってその時思った。
どんないじめも(いじめという行為が)、加害者が100%悪いと言うのがわたしの考えだが、あえて、いじめを受けた理由をつけるとしたら
おとなしくて口答えしなさそうな印象が
ターゲットにするには好都合だったのではないかと。実際、「やめて」とかじぶんの気持ちを言えなかったのは事実だし。(言っていじめがなくなったかは別問題として)その当時のわたしは、言い返したり先生にちくったりすると倍返しに合うのがこわくて、いじめから逃げるすべも、立ち向かう方法もわからなかった。ただ、やられるがままだった。
でも1つ言えることは、いじめの後遺症(トラウマ)って大きくて。
1対20であの集団からうける冷たい刺すような視線に凍りついた感覚は今でものこってる。痛みは完全には癒えないものなのかも。
先生が味方になってくれなかったのもショックだったけど、機能不全家庭で味方がいなかったのも大きかったかな。味方というのは気持ちに寄り添ってくれるという意味でね。
いちおう親には、いじめの事は話てたし、学校に話に行ってくれたんだけど・・・。
それがモンスターペアレントっぽくて。
「給食費返せ」とか、「あいつ(担任)はおかしい」とか、先生とか学校に敵意をむけることで、よけいこじれて、わたしが孤立してしまってたのが悲しかったな・・・。
そんなこんなであの当時ではめずらしく、不登校児になった。(麻疹になって1か月くらい学校いけないのも重なった)
「誰も味方になってくれない。生きてる意味なんてない。消えたい。」
そんなことばかり考える毎日だった。ほんとうにつらかった。
だけど、あれは小4の3学期だったと思う。
冒頭のゆずるくんが、家に電話をかけてきてくれたのだ。すごく唐突だった。正直びっくりした。え?なんであなたがわたしに?というかんじで。
なぜなら、そのゆずるくんとは学校であまり話したことなんて、なかったからだ。
電話でどんなことを話したか細かいことは覚えていない。でも【早く元気にならなあかんよ】その一言だけがつよく残ってる。
そのとき、電話越しにきこえた彼の声がまるで昨日の出来事のようにずっと、わたしの頭の中でひびいてる。声変わりなんてまだしてない小4の彼の声のままで。
たしか、彼はそのあとすぐ、おうちの事情で大阪の方へ転校したと記憶している。もうそれきり会えなくなった。
もし今だったら、SNSでつながりあえたかもしれない。でも、平成にもなっていないあの頃は住所でも交換しないかぎり連絡はとれなかった。
いちばん辛いときに声をかけてくれたのは彼1人だけだった。
彼に直接、その時のじぶんの現状もつらい気持ちも一切話したことないのに・・・どうしてわかったんだろう?気にかけてくれてたのかな?わざわざあの一言だけを伝えに電話をかけてくれたのかな?と思うと、今でも涙がにじむ。
もし彼が声をかけてくれなかったら・・・。
真っ黒だけの小学校時代だったかもしれない。
あの一言があったから、真っ黒だけどすこしだけ白色が存在したような感覚だ。
ふりかえってみると、わたしはあの時、ちゃんと気持ちを伝えれたのかな?
ことばにつまって、そっけない返事しかできなかったような気もするけど・・・。
どこかで、元気にしてるかな?
わたしがいたことも、電話をくれたことも、もしかしたら、もうすっかり覚えてないかもしれないけど。
もし会えていたなら、ちゃんと伝えたかったな。
ほんとうはすごくうれしかったよ。ありがとう。
さいごまで読んでくれた人、ありがとうございます。
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