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ウソで返すのもめんどくせー!!「毒(真実)をもって毒を制す!」認知症進行中の母が放つ毒舌攻撃の封じ方

先月に書いた記事で私は認知症が進んで同じ事ばかり言う母への対処法として「嘘(ウソ)をつく」という方法を書いた。

詳しくはコチラ

この記事を書いてしばらくの間は「嘘(ウソ)をつく」方法はとても有効だった。

ヨッシャ!これでバアバとのエンドレスで同じ事を言うやりとりから解放される!と喜んでいた。

ところが

最近どうもうまくいかない。

バアバがこちらのウソに対応しだしてきた。

脳はどんどん劣化していってるのに、対応してくるんじゃねーよ!
と言いたいが、バアバも日々忘れながらも繰り返される同じウソに「何かおかしい」と感じていたのかもしれない。

ある日から、こちらが言ったことをメモにとるようになったのだ。

それはいつものやりとりの時だった。

「なんでここに居るの? いつ帰るの?」

毎度おなじみの母の質問に私も定型文で返す。

「明日帰るよ」

するとなんと、いつもと違う答えが返ってきた。

「えー、昨日は今日帰るって言ったってここに書いてるで。今日帰るんやろ? 何時に帰るの? ご飯食べたら帰ってね。」

自分の書いたメモを見せながら言ってきた。

チッ
こざかしいマネしやがるじゃねーか!

と思いながら、ごまかしを試みる。

「なんか勘違いして書いてたんちゃう? 帰るのは明日やで。」

「えー、ホンマかいな。明日なんかいな。ほしたら明日帰ってね。」

なんとかその場はごまかして、バアバがトイレに行ったスキに先ほどのメモを破り捨てておくことを忘れない。
基本的に書いたメモがなくなっても、バアバが気付くことはないのだ。

だが、その後も何度も「いつ帰るの?」の質問に「明日」と答えると「昨日も言ったって書いてる」と次々に新しいメモが出てくる。

その度にメモを捨てるのだが、だんだんめんどくさくなってきた。

それに「いつ帰るの? 早く帰ってよ」と言ってくる頻度が日に日に増えていっている。

よっぽど私に出て行ってほしいようだ。

・・・

なぜバアバは一人になりたがるのか?

バアバは朝起きた時が一番何が何だか分からなくなっている。

「どうしたらいいのか分からん。指示してもらわな何もできん。アンタが居てくれなホンマにあかんわ。」

と私を頼ってくるが、起きてしばらくすると

「迷惑ばっかかけるし来てもらわなくていいからね。アタシは一人で静か~に、ゆ~っくりしたいねん。だから帰って!」

と言ってくる。

別にケンカしてる訳でもなく、普通に家にいて落ち着いている時でも突然独り言のように放たれる

「帰ってよ」

や、バアバがトイレに行く途中にボソっとをつぶやかれる

「いらんわ」

という言葉のナイフを不意打ちでくらうと(本人は聞こえないように言ってるつもりだが声がデカい)けっこう心に刺さるものがある。
母に対してもう何も望んでないはずなのに、放たれた言葉には今だ痛みを感じてしまう自分がいる。

病院に行くとか、デイサービスの迎えが来る前とかになって、自分が何かをしないといけない状態になったり、メガネやスマホをどこに置いたかを忘れて困った時は

「どうしていいか分からん」
「助けてー」
「一人じゃなんにもできないわ」
「アンタがおらな困る」

と頼りまくってくるが、ほとぼりが冷めるやいなや、舌の根も乾かぬうちに再び「帰って」攻撃を浴びせてくる。

最近分かってきたのだが
たぶんバアバは自分がボケていると認めれない、認めたくないのだと思う。
それと同時に周りに自分がボケていることを知られることを、とてつもなく恐れている。
バアバは昔から周囲の目をものすごく気にする人だった。

一人で居れば自分がおかしなことをしても誰にも見られないし、誰にも知られることはない。
誰にも文句を言われない。
知られないままひっそりと居られる。
自分がボケていることを突きつけられずに済む。

でも自分以外の家族が一緒に住んでいると
おかしなことをすれば指摘される。
文句を言われる。
言い返しても正論で言い負かされる。
その度に自分がボケている事実を突きつけられてしまう。

バアバは私と住むことで、日々自分がボケていることに嫌でも気付かされてしまうから、私に「帰ってくれ」と言い続けているのだと思う。

・・・

だからと言って寄り添うことはできない

バアバが一人になりたがっている理由を想像することはできるが、だからと言ってバアバを一人野放し状態にすることはできない。

既にバアバは一人では住めない状態だ。

●一人で病院に行けない
●一人だと何日もお風呂に入らない
●お金の管理ができない
●保険証などの大切なものをすぐになくす
●食べ物の衛生的な管理ができない
●家電の正しい使い方ができず壊す
●ゴミ出しができない

それに一人になった途端、何が何だか分からなくて朝から晩まで私や姉に電話をかけまくってくることも分かっている。

なのでバアバは私と住むことは嫌だろうが、一緒に住むしかないのだ。

お互いにストレスを抱えながら、一緒に暮らしていく。
おそらくバアバが死ぬか、施設に入るまでは。

バアバがこちらに「帰って」攻撃をかけてくる以上、こちらも自分のメンタルを守る為の対策をとらなくてはならない。

「嘘(ウソ)をつく」対策がバアバの「メモをとる」反撃により、だんだん対処がめんどくさくなってきたので、別の対処方法をとることにした。

とにかく、私的には長々とやりとりしたくないのだ。
時間をかけても、こちらの被害が大きくなる一方だ。
相手は時間だけは腐るほどあるので、長期戦に持ち込まれるほどこちらが不利になる。
できるだけ短時間でバアバに大人しくしてもらうことが重要なのだ。

そこで次に考えたのは「毒(真実)を持って毒を制す」だ。

もう相手の立場に立って……とか、気持ちに寄り添って……なんかは言ってられない。

私にとって私が楽しむ時間と、子ども達の為に使う時間が一番大切なのだ。

・・・

「毒(真実)をもって毒を制す」対処法

最近のバアバは人の顔を見るなり、二言目には

「いつ帰るの?」

と聞いてくる。
はっきり言ってウザいし、こちらも日々繰り返される「帰って」攻撃にいろいろと溜まりに溜まっているのだ。

今までなら「明日帰るよ」と言うところだが、もう言わない。

「バアバのボケが治ったら帰るよ(そんな日は永遠に来ないけどね!)」

顔色を変えるバアバ。

「なんやて⁉ アタシがボケてるって⁉ よう言うてくれるわ! 親に向かって! ここはアタシの家や! 出て行ってよ!」

想定内のリアクションなので別になんとも思わない。

「無理。だってもう一人で住めないやん。(真実)」

ヒートアップするバアバ。

「住めるわ! じゃあ試してみてよ! それで一人で住めなかったら来たらいいでしょ!」

「だから一人で住んでて、周りに迷惑かけてたから来たんでしょ(真実)」

「そんなんウソや! 出て行ってよ! 家を乗っ取りやがって!」

ここまではよくやるやりとりだ。
いよいよ新しい作戦を切り出す。

「そんなに私に出て行ってほしかったら、バアバが一人で住むことに賛成してくれる人を連れて来てよ。誰か一人でも居たら私は出ていくから。」

これは嘘じゃないし、本気の本気だ。
もし誰か一人でもそんなことを言うマトモな人間がこの世にいるなら私は喜んで出ていく。

「ホンマやね? 絶対やで!!」

とバアバは勢いで言うものの、バアバの言い分に賛成してくれる人など居ないのは分かっているのでこれ以上何か言ってくることはない。
私にとっては答えの分かり切った当たり前の言葉だが、バアバにとっては答えを求めようとすればするほど自分を襲う「毒」になるのだ。

この「毒(真実)をもって毒を制す」作戦を行った後もバアバの「帰って」攻撃がなくなった訳ではない。

ただ今のところはこの対処の方が、前回の「嘘をつく」方法よりもバアバが大人しくなっている期間が長いので、しばらくはこの作戦を続けてみるつもりだ。

・・・


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