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言葉の宝箱 1067【弱いから、強くなろうとするんじゃないの?】
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『朔と新』いとうみく(講談社2020/2/4)
兄の朔(さく)が1年ぶりに家へと帰って来た。朔と弟の新(あき)は一昨年の大晦日、父親の故郷で正月を迎える為に高速バスで仙台に向かい、バスが横転する事故に巻き込まれた。朔は視力を失い、盲学校での生活を送っていた。大晦日に帰省することになったのは新が母親と衝突したことが原因だった。本来の予定より一日遅れでバスに乗ったのが、運命を変えた。中学時代、新は長距離走者として注目を浴びていたが、ランナーとしての未来を自ら閉ざし、高校に進学した後も走ることをやめた。そんな新に突然朔が願いを伝える。「伴走者になってもらいたいんだ、オレの」激しく抵抗する新だったが、バスの事故に巻き込まれたことへの自責の念もあり、その願いを断ることはできなかった。かくして兄と弟は1本のロープを握り、コースへと踏み出して行く。第58回野間児童文芸賞受賞作品。
・認めたくない結果が出たとき(略)
事実を受け入れることができず、隠そうとする。
事実から目をそらし、なにかに縋り託そうとする P23
・これまでできていたことが、あたりまえにしていたことができない P45
・相手のことをわかろうとすることは、
障がいがあろうとなかろうと同じように大切なことだと思う。
障がいって個性だっていう人がいるだろ(略)
障がいはその人の大きな特徴ではあると思うんだ P101
・自分のことって案外本人が一番わかってなかったりするんだよ P103
・運命なんてことばは好きじゃないし、
そんなものに決められるなんてまっぴらだ。
だけど、そう思ったほうが楽なこともあるんだって思う P151
・どんなに欲しくても、手に入れることができないものてあるだろ。
それを持ってるやつがさ、平気で手放そうとしてたら、
腹が立つんじゃないか? P193
・家族っておかしなもんだよ。
父親とか母親とか兄とか弟とか、
そういう役みたいなものをそれぞれが全うしようとするんだよな。
外れないように無意識に演じあってるっていうか。
そういうものがあると安心するし、ある意味心地いいんだけど(略)
心地いいけど、それが邪魔になるときがある(略)
家族って、案外一番遠いのかもしれませんね P207
・弱いから、強くなろうとするんじゃないの? P242
・人って変わるんだよ。よくも悪くもね。
でも、変わってしまうのと、変わろうとするのは違う P245
・できなかったことができるようになることも、
わからないことがわかるようになることも、知らない世界を知ることも、
全部、オレにとっては見ることなんだ(略)
見るって、目に映るものだけじゃないんだよ P260
・頼ることと、迷惑をかけることは違うんだよ。
だいたい、そばにいるのに頼ってもらえないって……(略)
その気持ちをぜんぜんわかってない P274
・走ることは、孤独だ。
どんなに苦しくても、辛くても、誰かに助けてもらえるものではない。
走れなくなったらその場に立ち止まり、倒れ込むだけだ(略)
走ることはやっぱり孤独だ。孤独で、自由だ P284