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言葉の宝箱 0545【そんな先のことは言うなよ。結論を急いじゃいけない】


『駒子さんは出世なんてしたくなかった』碧野圭(キノブックス2018/2/26)


水上駒子42歳。出版社で働く管理課課長。
専業主夫の夫と高校生の息子あり。
平穏な毎日に突然降りかかった昇進辞令。
社内をかけめぐる噂と悪口、足を引っ張る年上の部下、
女を使うことも厭わない同性ライバル、
セクハラ・パワハラの横行する男社会をかいくぐり、
駒子はどんな明日をつかむのか?
出版社のお仕事小説。

・「家事は修行である」掃除にしろ洗濯にしろ炊事にしろ、
家事に終わりはない。
部屋を完璧に片付けたと思っても、
翌日になればまた埃は溜まるし、ゴミも出る。
何時間掛けて食事を作っても、三〇分も経たずに器はからになる。
家事は砂の城を築くのに似ている(略)
一生懸命作り上げても、大波が来たら一からやり直し。
やったことを形に止めることはできない。
一晩経てばまた同じことを始めなければならないのだ。
さらに家事を完璧にやったからと言って、
誰に褒められるわけでもない(略)
誰かに𠮟られることもない。
家事をちゃんとやるかやらないか、決めるのは自分。
評価するのも自分だけなのだ P5

・褒められる時は、出し惜しみせず褒める。
それが相手をご機嫌にするいちばんの秘訣だ P7

・決して怒らず、諭すように言う(略)
最近の若い子は大事に育てられているからか、𠮟られ慣れていない。
叱られるとその事実だけに頭がいっぱいになって、どうして叱られたのか、どうしたら失敗を繰り返さずに済むかまで頭が回らなくなってしまう、
という子も少ない P11

・男の嫉妬は怖いからね P42

・正論だから正しい。だけど、それだけじゃやっていけないんだ。
みんなそんなに強い人間ばかりじゃないし、
正しく生きられるばかりじゃない P195

・正論って、そんなにダメなんだろうか。
正論で、正攻法でいくことが、何事もうまくいくと思っていたけど、
それができるのは強いってことなのだろうか。
弱いからこそ、正攻法じゃない策略を巡らせるってことなのだろうか P197

・正攻法ばかりでは乗り切れないことがある。
人の気持ちは計算通りには動かないからだ P202

・ただ見守る。その間、何もしない。それは自分にとって苦痛でしかない。そして、見守ったからと言って、よい結果が出るとは限らない P212

・昇進したいと思う人間もいれば、それが負担になる人間もいる。
人それぞれ、使いどころだ P217

・そんな先のことは言うなよ。結論を急いじゃいけない(略)
これをきっかけに、何かを変えようなんて思ったら、
かえってうまくいかなくなるだろう P242

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