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言葉の宝箱 0181【他人の不幸にはいくらでも我慢できるし、時には快感でさえあるのだ】
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すすり泣くような胡弓の音色に乗せた
「越中おわら節」が響く「風の盆」の前夜祭。
老舗旅館の若旦那が変死体で見つかった。
自殺という警察の見方に疑問を持った
浅見光彦と軽井沢のセンセは捜査に乗り出す。
幽玄な「風の盆」を舞台に男女の愛の悲劇を描いたミステリ。
・「おわら」のあの、柳が風に靡くようにしなやかで、
えもいわれぬ妖艶な風情を醸し出す踊りの姿態は、
若さを失っては創作できない。
どんなに年季を積んで技術的に優れていようと、
年齢からくる体形の崩れは隠しようがない P24
・人間の本性なんてやつは、他人の不幸にはいくらでも我慢できるし、
時には快感でさえあるのだ P72
・憎まれ口を叩く、素直に人を喜ばせることのできない、
ひねくれた、困った性格 P77
・人間、勢いがつくと、
本音はもちろん、思っていないことまで喋っちゃうんだ P98
・好きなくせに素直に好きと言えない P112
・よく知り合った仲では、話すこともあまりない。
その点、倦怠期の夫婦によく似ている P168
・人間の気持ちなんて、うつろいやすいもんだからな。
過去より現在の方が大切なのさ P205