言葉の宝箱 1118【本当に自分を好いてくれているのなら、心の醜い部分を見せたとしても、変わらずに受け入れてくれる】
『ジョッキー』松樹剛史(集英社2002/1/10)
乗り馬に恵まれないまま30歳を目前にした騎手の中島八弥。
女子アナとの淡い恋、横暴な馬主との確執、馬への愛情など
様々な思いを抱えながら、
夢破れた兄弟子との過去を引きずる彼に天皇賞の大舞台が巡って来た。
第14回小説すばる新人賞受賞作。
・微妙な人間関係のこじれを、
さらにひねることにより、ねじ切って解消しようといったものである。――単純に、切ればいいと言うものでもあるまい P94
・同じ事象からまったく正反対の理念を導き出しているのに、
両方とも話に不自然なところがない。
聞けば聞くほど、どちらも一理あるような気がしてくる P96
・ライバルは、強いて言えば自分ですかね、自分がライバルです。
どんなに辛い立場に置かれたとしても、自分が頑張っていれば、
見てくれている人が必ずいる。そう思ってますから P150
・過去から逃げるのではない。未来を切り開くために駆けた P280
・過去とは決別するしかない P281
・何から何までありのままを話し、
それに対するすべての反応を受け入れることが、
今の自分の為すべきことだ(略)
本当に自分を好いてくれているのなら、心の醜い部分を見せたとしても、
変わらずに受け入れてくれる。
輝くような笑顔で、きっと自分を見つめてくれる――かもしれない P282