言葉の宝箱 0274【人生で欲しいものすべてを手に入れるのはまず無理なんだ。残るもの、捨てるものを自分で選択していかなければならない。それが幸せになるか不幸になるかの分かれ目だと思う】
宗介とは半年前、街で偶然再会を果たした。
学生時代の友人で、人から見下されるような仕事をしている
僕とは違い、将来を嘱望された秀才。
その彼が大手コンサルタントを辞めて、行くあてもないと言う。
仕方なく一晩だけ泊めるつもりが、
宗介はその後も居着いて、今ではうちの居候。
普段は暢気にヨガの修行をして過ごしている。
そんな彼は僕が仕事で遭遇した事件を持ち帰ると
瞬く間に解決していく探偵へと姿を変えるのだ。だけど、僕は知っている。宗介自身が誰より深い悩みを抱えていることを。
暗い過去を持つふたりの青年が
五つの事件を通して経験していく出会いと別れ。
『死者に名を』『雨宿り』『女王様のクリスマスプレゼント』『恋は紫色』『正者に花を』の5話短編連作ミステリ。
文庫化に際し『僕の探偵』に改題
・男のひとに抱かれる仕事って、
ちょっと後ろめたくて汚くて、心がどろどろしそうじゃないですか。
なんか堕ちていけるっていうか。そんなところがいいかな P7
・キャバ嬢っていうのは、
客からいくら金を巻き上げようか常に考えている。
風俗は程度の差はあっても、
みんなお客に気持ちよくなってもらいたいと考えてる。
商売として、どっちがまともか、考えてみな P92
・根拠のない自信も大切です。
今日より明日のほうがよくなる。
いまは最悪だけど、
きっとよくなるときがくるって考えたほうが楽ですもん。
自棄になって足を踏み外したりもしない P119
・人生で欲しいものすべてを手に入れるのはまず無理なんだ。
残るもの、捨てるものを自分で選択していかなければならない。
それが幸せになるか不幸になるかの分かれ目だと思う P169
・男を見る目がない女は、何度でも悪い男に捉まる P231
・一度の不義理が、
これまで積み上げてきたことを台なしにすることもある P253