言葉の宝箱 0836【無法や暴力に屈しないためには勇気が必要なのだ】
『沃野の伝説(上・下)』内田康夫(光文社文庫2005/10/20)
米穀卸商の坂本義人が水死体で発見された。彼が死の直前に電話をしていた相手は浅見光彦の母、雪江だった。嫌疑を掛けられ兼ねない状況の中、浅見家が購入した高級米の袋から大量の穀象虫。浅見は母に命じられ、調査に乗り出す。一方、長野県では巨額の米横流し事件が発覚、坂本事件との関連を重視した県警は竹村警部に捜査を要請するが、二つの事件の容疑者阿部隆三も失踪を遂げ、真相は混迷を極めていく。
米市場を巡る巨大な闇(食管法の矛盾)に挑む社会派ミステリー。
・かつて「長野は教育県」といわれたのは、むしろ人的資源の育成しか、
活路を見いだせなかった事情の表われかもしれない P79
・出世なんかする必要ないじゃないか。
何でもかんでも出世だ金儲けだって言うから、
無理な背伸びして、それが犯罪の原因になったりするんだ P81
・殺人という犯罪行為が、人間の愛憎の行き着くひとつの結果としては、
きわめてドラマティックなものであることは事実だ P101
・米づくりにが、それぞれの土地の気候・風土が影響しましてね、
とくに水と土ですな P152
・日本人は都合の悪い場合の言い換えがじつにうまい。
戦時中、「退却」を「転進」と言い、「敗戦」を「終戦」と言った(略)「侵略」を「進攻」と言い換えることぐらい造作もない P181
・男の人って、平坦な道ばかり歩いているのがいやになるのかしら?(略)女は平凡でもいいから、安穏な生活をって願うけど、
男の人はそうじゃないのかしら P312
・島国日本は世界から孤立しているようでいて、
じつは世界のいたるところと繋がっている。
繋がっていなければ生きてはいけない ㊦P46
・無法や暴力に屈しないためには勇気が必要なのだ ㊦P249
・密輸も国家的規模でやれば合法 ㊦P316