言葉の宝箱 1123【人の欲は果てしがない。落とし穴はどこにでも口を開けている。一線を越える者は頭で考えるほど特別なわけではない】
橋口雄一郎はカツラ、洋服、職業、車などを使い分けて変身。
女性の心理を逆手に取る巧みな話術で誘惑し、
金を騙し取る40代のプロの結婚詐欺師。
東京・小滝橋署の刑事、阿久津は偶然関わった結婚詐欺の被害届から、
プロの匂いを感じ取り捜査を始める。
やがて松川学という前科者が浮上、身元の確認に追われる。
一方、橋口はゴルフ練習場で見つけた女性に次の狙いを定めた。
現代の結婚観を浮き彫りにしたサスペンス前編。
・自分が恐妻家だという評価を受けているのは、充分に承知している。
だが、日々の暮らしに波風を立てず、仕事に専念するためには、
こちらが折れるしか方法がないではないか P54
・自分が受けた心の傷、屈辱を、
わざわざ赤の他人に話さなければならないということが、
女性にとって、どれほどの苦痛か、勇気と決断のいることか P63
*ゴンベンというのは、詐欺の隠語だ。
文字の一部を取った呼び方(略)
汚職をサンズイ、窃盗をウカンムリと呼んだりする P76
・とにかく今、今を考えるより他はない。
そして、この「今」につながる未来の構図を、
極力壊さないようにするだけのことだ。
間違いを起こさない、アクシデントには巻き込まれない。
地道に、安全に生きること、それが、自分の人生だ P205
・生きてるのが、やっと。
本当は、死ねた方が楽なのにって、思うんですけどね P247
・自分で自分を褒めてやらなければ、
いてもたってもいられない気分になるときがある P265
・女の中にも、女に見えない相手っていうのは、いるP279
・人の欲は、果てしがない。
落とし穴は、どこにでもぽっかりと口を開けている。
一線を越える者は、頭で考えるほど特別なわけではない P282