言葉の宝箱 0583【黙っていたら何を考えているかなんてわからない】
中学2年生の井出拓郎は学校で親友の榎木慎と映画研究会を立ち上げ、
拓郎の撮った映画がコンクールで賞をとるが、
審査員の講評には
「主演の女子がいい味を出している」ということが書かれてあった。
主演の女子は同じクラスの田沼涼子。
学校で涼子はブスだとバカにされている。
そんな涼子を主役にしたいとは周りに言えず、
拓郎はそれを隠して映画を撮ったのだった。
みんなからは容姿をからかわれている涼子だが、
拓郎は彼女に特別な魅力を感じている。
果たして、これはただの興味か、恋心なのか。
拓郎はなぜ世の中の人間は見た目について
「きれい」と「そうでない」とを区別したがるのか、
なぜ見た目がよいとチヤホヤされるのか気になって仕方がない。
ある時、拓郎は夢のなかで
涼子に「世の中は見た目じゃない、中身だ」と宣言する。
自分と同じ年頃の子、毛髪が薄いことを気にしている叔父、
イケメンの親友の意外な過去、
テレビの中で注目される美魔女や美しすぎるといったことから、
拓郎は見た目について、毎日考えるのだった。
・ひとって黙っていたら何を考えているかなんてわからないもんね P102