上吊り&指一本で開け閉め ~開き戸を引き戸にする方法 ②
既存のドアをそのまま使って、引戸にできないかな?という願い、実はわりかし簡単に叶えられます。そういう部品があるのです。
マツ六さんの「エコ引き戸」という部品。
これの特徴は、既存の扉まわりに吊戸レールを後付けで取り付けるために、金物や樹脂部品が工夫されているところです。
あえてその選択をお勧めすることもあります。それは、建具と壁の仕上げに関係性がある場合。
もともと、同じクロス貼り仕上げだったこちらのドアの場合、
ここが、こういうふうになります。
開けたときはこんな感じ。要は引き戸になっても、部屋の雰囲気をあまり変えずに済む、ということですね。
この製品の利点を上げるとこんな感じだろうか。
ただし、欠点もあります。一般論として、アウトセットの吊り引き戸は、扉の下側1ヶ所のみ振れ止めをつけて、そこで扉がブラブラするのを止めているのですが、どうしても遊びがあるため、施錠が難しい。これは引き戸共通の課題ではあるのだが。
専用鍵もあるのだけど、いわゆる自転車の昔の鍵みたいな構造なので、取付条件を選ぶし(部屋側への扉のインセットには対応できない、とか)、やっぱりちょっと頼りない。そもそも使い方が直感的にわからないという問題が最初に発生します。要は押し棒だからね、これ。
なので、こちらとしては独自にこういうものを取り付けたりして対応することもあります。ただ手間はかかる。
なので、おトイレの場合はそのあたりもきちんと確認して工事します。
もう一つの問題は、操作が軽すぎること。
利点と表裏一体の問題ではありますが、乱暴な使い方をすると吊り金物が曲がったりして辛い。個々のパーツだけ供給してくれるといいんですがねえ。
ちなみに、廊下に扉を走らせる場合、こんな感じになります。別の角度からのビフォーアフターを。
だいたい40mmくらい廊下側に出てきます(ハンドル部はもっと出る)。なので、廊下移動についてはちょっと窮屈になる感じはありますね。
施工動画はこちら、DIY派の皆様に。
ただ、実はこちらの部品、デザイン面での個人的な満足度はとても低い。
まず、枠側のカバー部品は殆ど使うことがない。加工性が悪いのに加えて、あまりにもプラスチックにしか見えない質感だし、ほかと色も合わないことが多いので、苦労してつけてもガッカリされるからだ。それでは頑張ってつける意味がない。時間と金の無駄である。
なので、既存の木枠の、ラッチ金物をあえてそのままとしたり、加工して薄ベニヤで埋めたりして対応している。
ただし、そうすると枠と額縁部分の段が見えることになるので、扉の幅が足らず、隙間が空いてしまうことが多い。なのでこちらは、扉幅をその分広げて対応する。両側に30×20~30程度の木材を取り付けることが多い。それを塗装して、さらにその外側にこの製品の端部パーツを付けて納める。
また、すきま隠しのゴムがあるのだが、これがだいたいにおいてトラブルになる。時間が経つと下がってくる。接着不良だ、と言われるかも知れないが、付属の接着剤は黄色い箱の、古典的なニトロセルロースの透明なやつなので、はみ出ると汚い。でもはみ出るしかない納まりなのだ。なによりこのゴム部品、とってもビラビラなのである、見た目が。これが格好良いと言える厚顔さは、さすがにない。
なので、こちらでは大抵この定番品、すき間モヘアシールを別途買ってきてその部分に貼り付けて使う。これならまず大丈夫。ちょっとしたことでのお呼び出し対応コストってばかにならないからね、経済的というより時間と精神的に。
あと、ハンドルも既存の扉の穴を塞ぐためにプレートが必要なのはわかるが、これもプラスチックなのだ。正直、もうちょい頑張ってほしい。アルミ板程度まで。
そして、一番の不満点は、以前は簡易型という、枠周りの部品がないタイプを売っていたのに廃番にしたこと、です。なので標準セットを買って、使わない枠隠し部品をわざわざ廃棄する羽目になっている。切り刻んで。
マツ六さん、そこんとこどうなの。
というわけで、ボヤキ多めの記事となりましたが、それでも扉を捨てずに再利用して、開閉しやすい扉が作れるというアドバンテージは捨てがたい。なので年何回かは必ずお世話になる部品なのです。
でも、そろそろこちらは他社さんのパーツを組んで、再利用引戸ができないか、トライしようと虎視眈々と企んでいるのであった。問題は下側の振れ止め側、建具付けのガイドレールなんだよな。なにか良い策はないかしら。
前編記事はこちら。