
【日本の野菜が水っぽい?】ことは人を幸せにするのか!
#カット野菜 #センスメイキング#350g#野菜#時短#マーケティング#ウェルビーイング#ストーリーメイキング
はじめに) 問題提起
皆さんは、毎日、野菜をどのように摂っていらっしゃいますか。
厚生労働省の提唱する野菜摂取量は、1日【350g以上】が「健康日本21」目標値なんだそうです。
また、生活習慣予防の観点からも、1日必要な野菜摂取量は、【350g以上】です。
野菜は、ナトリウム(食塩)を排出して、血圧を下げる効果のあるカリウムが多く、体内の細胞・組織の酸化を防ぐビタミンが含まれると言われています。
→1日の野菜摂取量は、350gではなく、【350g以上】という表示です。この以上というのは、個人差があるということなんでしょうか!
ここで今回取り上げるのは、日本の野菜が、ここ数10年で、「水っぽくなった、薄味になってきた」という意見があることが気になったからです。
特に、日本在住の外国人(特に降水量の少ないヨーロッパから中央アジア出身者)に言われることが多いそうです。
(「世界の食卓から社会が見える」岡根谷実里 大和書房2023年)
だからといって、日本の温帯モンスーンの気候変動によって、降水量が、乾燥エリアより多い為に、日本の野菜が、「水っぽい」とか、「味が薄い」とか、「弱々しい」となっているだけではなく、日本人の生活スタイルの変化「時短志向」、さらに生産者の効率化追求の姿勢、国と企業が常に成長しなければならないという野菜の生産量と販売数量というマーケティング目標値ノルマの設定によって、生じてしまったのではないかというのが、今回の問題提起です。
更にその【日本野菜は水っぽい】のが、本当に我々に幸せをもたらすことになるのでしょうか。
作れなくなった料理と栄養素に犠牲はないのでしょうか!
我々日本人は、そのような変化に気がついていない人の方が多いのかもしれません。
現在時点だけで捉えないで、ゆっくりと時間の流れをみて捉えて深く考えていきたいものです。
【考察1】
料理の時間を短かくするには、【野菜は水っぽい】方がよい。
・・【野菜の料理する時間が短くなった。茹でる、煮込む時間が、短縮してきた。】
さらに具体的にみていきましょう。
・カリフラワーの茹で時間:1959年3月4月の「きょうの料理」10分→現在は、2分
・「おにしめ」1968年7月8月の「きょうの料理」で1時間半→現在のテキストでは、30分
・食べやすい、きれいな野菜が重用されて、カット野菜の売り上げよい。(2023年4月23日 日経新聞)パッケージサラダ市場サイズ1969億円、コロナ前2019年比較26%市場サイズUP)
・煮物の調理頻度は、1978年から40年間で、3分の2、漬物は、3分の1に減少(「キッチン白書2019」クリナップ株式会社2019年2月)
【考察2】
"時短"という生活者ライフスタイルの変化が、【水っぽい野菜】を作った。
内食である家庭料理は、ますます時短志向へ。
さらに、孤食化(家族内孤食化バラバラで食べる)、料理スキルの減少が、相まって生じている要因です。
具体的には、オートミール、シリアル朝食の増加もあります。
利便性、最短の時間で、栄養素として、脳のエネルギー源となる炭水化物・体温を上げるタンパク質、その栄養素を効率よく利用するビタミンとミネラル摂取したいニーズが高まっています。
【考察3】
日本野菜の9割は、品種改良。どこでも同じ味が、【水っぽい】に繋がる。
さらに、(朝の)サラダは、手間暇かけて美味しいサラダより【時短】が大切で、そこそこ美味しい味がよいとされます。
クセのない(地域性などの個性があるものではない)全国共通の品種改良野菜の存在が、重用されます。
この品種改良技術が日本の野菜をより【水っぽく】しています。
固定種の野菜は、クセがある。地域特性があり、スーパーでの画一化マーケットには、そぐわないと思われています。
しかし一方で地域活性に貢献しているのは、固定種だという事例もあります。
参考)東広島市の西条ネギや長野県のネズミ大根という固定種によって、地域料理が活性化しているのとは、全く逆であります。
【考察4】
生産者が、(酸性土壌に)大量の化学肥料を投与した事が、【水っぽい野菜】を作った。
生産者サイドは、大量消費と生産性を上げる為、酸性土壌に多くの肥料を投入します。
「大量の肥料に耐える事ができ、肥料を増やすことで高収量が得られる品種」へと技術革新されている可能性があります。
世界肥料使用量は、60年前の6倍です。
参考
【単位面積あたりの化学肥料使用量(2020年)】
第1位 韓国 362.2kg/ha
第2位 オランダ 277.8
第3位 日本238.2
世界平均146.0kg/ha
世界台所探検家の岡根谷実里さんの見解では、
「雨が多いことによって、作物に養分を届ける為に化学肥料を与える量が多くなり、それによって身が肥大化し、しかし光合成でしか生成されない養分やビタミンCは、一定の為、味が希釈されて、水っぽく感じる」という。
(参考までに、現在かなり農業指導が行われて、化学肥料使用量は、減っているといわれています。)
【考察5】
外食産業も、2時間制限制が増えて、野菜は、【時短用の水っぽい】ものが重用される。
外食産業でも、最近時間制限がやたらと多くなってきたのが気になります。
2時間制限制は、私の仕事している渋谷エリアでは、確実に増加傾向にあります。
さらに回転率アップさせ、閉店時間も早くしています。
(2時間経ったら退席をお願いしますという店舗です。明らかにafterコロナの傾向でしょうか)
【考察6】
ワーカーホリックのサラダ麺が、【野菜を水っぽく】する。
ワーカーホリックの食べるサラダが麺が、野菜を水っぽくする。
食に美意識のないワーカーホリックが、自律神経のバランスを悪くして、野菜を水っぽくしている。(水っぽいことさえ知らない。無関心である)
現状)
私の目前に、昼食にサラダ麺をすごい音を立てて食べているビジネスマン達がいます。
午後3時、渋谷にあるオフィス棟22階、海外とのリモートの合間にたった五分も経たないでその方は、サラダ麺を完食してしまいました。
周りにどんな人間がいようが関係なく貪るようにべている光景は、とても美しいものとは思えません。
早く栄養素を取り入れれば良いと考えているワーカーホリックさんが、【野菜を水っぽく】してしまったのではないかとさえ、思います。
朝食を摂らないという、食スタイルの増加も、食や野菜本来の価値を考えずに無関心ゆえにこのように、野菜が水っぽくなっていることも、関心は低い。
(まとめとして)
以前、朝食において、数多くの企業がオートミール市場に参入し、市場の拡大をしたことが、コロナ禍の時期にマスコミで報道されました。
現在、【時短】に寄与する食事提案は拡大傾向という風潮があります。一方では、さらに個食化し、家族間の会話が少なくなっています。これは決して幸福になっているとはいえないかもしれない。
幸福の四つの因子の一つに【繋がりと感謝】であることを考えると、【時短】は、効率は良いがより幸せとは言えないではないでしょうか。
食の本質は、栄養面と美味しさ、利便性、だけではなく、人間の関係性を培う【対話】にあるのではないか。
今回の【日本の野菜は、水っぽい?】のはマーケティングストーリーなのでしょうか!
生産者サイドの生産性と向上と、生活者が食べやすく美味しい野菜には、一見すると素晴らしいマッチングのように感じます。
しかし課題は、生活者のウェルビーイングという幸せ感の醸成
ここでnot eで様々論議してきたセンスメイキング理論を使って考えてみようと思います。
【第1ステップ】
我々の感知能力をあげて観察する、感じることを大切にしてみましょう。
ありのままを見つめる。感じる。
▪️野菜が水っぽくなるのは、本当によいことだけでしょうか!
▪️野菜の価値、食の価値は、なんでしょうか!
▪️我々は、時短という言葉によって何を達成するのでしょう
【第2ステップ】
様々な解釈と意味付けをするストーリーメイキングをしてみたいと考えます。
多義性ですから、様々なストーリーを物語ってみたいです。
この時は、日本の野菜が【水っぽい】の是非だけではなく、【自分ゴト】で食生活、食のあり方、家族関係、自然との関係をストーリーにしてみることです。
未來に向かって、ストーリーメイキングすることではないかと思います。様々な、解釈とストーリー作成で共感できるものを見つけることが大切だと考えます。
【第3ステップ】
最後に、それに基づいて、行動に起こすことで、未来を作り出すことです。
一元的にならない様々なストーリーから、新しい価値を生み出す作業で共感できるか今求められているのではないでしょうか!
【野菜が水っぽい】は、短期的利益を追求する
ナオミ・クラインの言ういわば、ショックドクトリンにならないようにしなければなりません。けけ
まとめのおまけ:違和感を大切にしよう
センスメイキング理論で考えると、話が論理的でわかりやすいとか、多くの人が求めているからいいんじゃないか、と思えることを「本当にそうなのか?」と立ち止まらせます。
立ち止まったときに自分の中にある違和感が湧いてきたら、その理由を自分に問いかけることです。その”ふと思う”というのは、いろんな先入観を思う前の第一感ですから、その人にとっての本質が現れます。
今回の問題提起に対して、正しいとか間違っているとかではなく、ふと何を思ったか。
その思ったことを起点に自分の考えを腑に落としていくことで、モノの見方考え方が変化し、主体的に考え、イノベーションが生まれる土壌が育つことにセンスメイキングの意味があると思います。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。