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渋沢栄一 上・算盤編 下・論語編(鹿島茂)【読書メモ】

政治家や学者メインのお札の肖像に、初めて実業家が採用されたのは一体何故だ。
そんなこと知らんけど、この本で渋沢と因縁のある藤山雷太という人が言っている。学者としては福沢先生、実務家としては子爵(渋沢栄一)あるのみと。

自分の力が必要とあらば、すぐさま動く行動量。
喜寿を超えた齢で、険悪な日米双方から意見を吐き出させた上でアウフヘーベン的結論にもってこうとする頭の柔軟さ。

渋沢栄一は、自分が何のために生まれてきたのかを明確に分かっている人だ。
それは天啓とかお導きではなく、おそらく官僚から民間へ転身した頃の葛藤の中で生涯の役割に気づいたのだろう。

やや礼賛しすぎな内容だが、読み進めるほどに一万円札になるべくしてなる男だと分かる。
渋沢栄一の職業や成果ではなく、生き方や考え方が一万円札肖像に相応しいのだ。

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