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1460日の軌跡


5月28日。オーケストラでお仕事をするようになってから丸4年が経過しました。

もともと吹奏楽部でファゴットをはじめた私にとってまっったく経験のなかったオーケストラというジャンル。
とにかく楽器が好き!といった情熱しか持ち合わせていなくて、視野が驚くほど狭かった。
藝大に入学してから学校の授業でオーケストラ作品に取り組むまで交響曲と協奏曲の違いも知らなかったのはここだけの話… (盛っててほしいけど残念ながら盛っていません

就職してからの4年間、それはそれはすさまじいスピードで過ぎていきました。
それこそここ最近の数か月は世間の情勢もあり落ち着いた生活になっていますが、譜読み…譜読み…譜読み…の毎日で正直なところ途中なんども心が折れかけたし、演奏家というより音を出す機械になっているんじゃないかと疑心暗鬼になったことも。

演技の経験はないからわからないけど(うそ、高校生のときに音楽劇で主役を務めたことがあります笑 いま思い返すとよくセリフ覚えられたなぁ)
演奏家にとっての楽譜って役者さんの台本に対する感覚と相当するんじゃないかと思っていて。
やっぱり自分の言葉(音)で喋るには相当、相当、身体にしみ込ませないと滲みでてこないもの。最初の3年間くらいは初めて取り組む曲が大多数で、不器用な性格もわざわいし同時進行で3・4公演分10数曲くらいの勉強を進めざるを得ない状況なんてザラでした。

学生のころ師匠に「とにかく基礎を磨いて初見に強くなれ」とご指導いただいていたことの重大さを痛感する毎日。
曲を脳みその右から左に流すだけでは演奏家としては4流以下。曲の浸透率を日頃からできる限り高めて、余った時間を演奏の味付けや勉強に費やす…言葉にするとすごくシンプルですが、そのバランスを保ったまま生活することってとにかく難しい。

それでも毎日のように同じメンバーと呼吸を合わせることの楽しさと、なによりいつも気にかけてくださるお客様がいらっしゃるからこそここまで活動を続けてこれたと思います。
あと旅仕事で出会うことのできる人や場所との新しいご縁に対するワクワクと、共演者と乾杯を交わす打ち上げのビール!ここまでセットなのが演奏家というもの。
日頃よりお世話になっている皆々様に、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

オーケストラ奏者ってパイロットの次にストレスが大きい職業という話もきいたことがあります。命こそ預かってはいないけれど、自分の演奏家生命は常に死と隣り合わせなのは間違いありません。(笑)
他の業種よりかよくも悪くも大変に刺激の強い毎日を送っていると思うけれど、はじめてプロオーケストラの団員としてステージに立った日の記憶を薄めずに一生を終えられるかな?そうありたいな。
いずれ楽器ケースを開ける最後の日が必ずくるということも見越して、逆算した今日の過ごし方を常に思考できる人間でありたいと思うのでした。

まだまだやりたいことがいっぱい。仕事をこんなに楽しみに思えるなんて、人生ほんとに勝ち組。しあわせです。


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