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【童話 #31】たっくんちの小人さんのいたずら

※子ども向けのお話です


スヤスヤ...。

たっくんは時々(ときどき)、ムニャムニャとつぶやいて、ゴロリンと寝返(ねがえ)りをうっては気持(きも)ち良(よ)さそうにねています。

たっくんのママは寝顔(ねがお)を見ながら、「もうすこし勉強(べんきょう)をしてくれたらいいのになあ」とつぶやき、たっくんの額(ひたい)にそっと手をやり、軽(かる)く、なでなでとしました。

たっくんとママは、たっくんが学校(がっこう)から帰(かえ)ると、こんなやりとりをします。

「たっくん、ゲームはあとにして学校(がっこう)の宿題(しゅくだい)をしてね」

「は~い、わかってるよ。まかせて。」

たっくんはそう答(こた)えて、すぐにゲームを始(はじ)めます。

ママに3回(かい)くらい言われると、たっくんはようやく机(つくえ)に向(む)かいます。

ママが目を離(はな)すと、こっそりとゲーム機(き)を取り出して、宿題(しゅくだい)が終(お)わっていないのに遊(あそ)び始(はじ)めます。

ママはたっくんがどうしたら宿題(しゅくだい)をしてくれるのか、それが悩(なや)みでした。

ある日の夜、たっくんの家(いえ)にいる住人(じゅうにん)の小人(こびと)さんが壁(かべ)にある小さなドアをあけて、部屋(へや)のなかをキョロキョロとのぞいています。

たっくんのランドセルに目がいきました。

小人(こびと)さんは、たっくんとママにきづかれないようにして、「た、た、た、た、た。」と小走(こばし)りにランドセルまで向(む)かいました。

ランドセルのなかから、宿題(しゅくだい)のプリントを取(と)り出(だ)します。

その中から「お絵描(えか)き」のプリントを机(つくえ)の上に広(ひろ)げると、ちかくにあったえんぴつで「サササっ」と何(なに)やら書(か)いています。

書(か)き終(お)えると、そっとランドセルの中にしまいました。


次の日です。

たっくんはいつものようにママに宿題(しゅくだい)をするようにいわれて、いやいやとランドセルの中のプリントを取(と)り出(だ)します。

たっくんはプリントを見(み)て、気(き)づきました。

そして、大きな声(こえ)で「おえ~ん」と泣(な)きだしました。

ママはプリントを覗(のぞ)き込(こ)みます。

宿題(しゅくだい)のお絵描(えか)きが終(お)わっているではありませんか。

ママはたっくんがどうして泣(な)いているのか、不思議(ふしぎ)に思(おも)いました。

たっくんに聞(き)いてみました。

たっくんは自分(じぶん)でお絵描(えか)きをしたかったのです。

宿題(しゅくだい)は終(お)わっていたのに、たっくんは嬉(うれ)しくなかったのです。


小人(こびと)さんのこんなイタズラがあってからは、たっくんは宿題(しゅくだい)をママから言(い)われずにやるようになりました。

ただし、たっくんの好(す)きな宿題(しゅくだい)のところだけです。

嫌(きら)いなところはこれまでと変(か)わりません。


たっくんの家(いえ)にいる小人(こびと)さんは、まだまだ引っ越し(ひっこし)ができなそうですね。


【終わり】

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東田純平
ありがとうございます。気持ちだけを頂いておきます。

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