
緊張コントロール・薄氷を見つける!
ビジネスシーンでのプレゼンや就職活動における面接で、人はほぼ全員が緊張をします。
私は日々、生放送でニュースを伝えたり、その詳細を説明したりしています。
時間帯や内容にもよりますが数百万人のお客様の前で、収録ではなくライブでパフォーマンスを提供しています。
一言一句、誰かにチェックされている様な、常に銃口を向けられているような恐怖を感じながらカメラの前に立っています。
そんな中で「緊張をどうコントロールしているの?」という質問をよく受けます。
大前提として人は、その立ち位置や、その時その人が発する言葉に「責任を伴う時」に緊張するのだと考えています。
好き勝手言って良い場、何を言ったとて特にその後の状況に当人が左右されない環境で人は緊張しません。
そう考えると、プロジェクトの方向性や企業の指針を背負って行うプレゼンテーション、自分の夢や目標に進む大きな一歩に影響する就職活動、このシーンで人が緊張するのは当然のことです。
緊張は当たり前の生理現象とした上で、私が日々実践している緊張との向き合い方を3回に分けてお伝えします。
①2倍速で薄い氷を見つける
➁気付かせないトレーニング
➂誰も聞いていない精神
今回は①について。
これ、本当に効果てきめん。
すぐにやってみてください。
私はニュース原稿を手にした時に、時間があれば下読みをします。
もっと時間があれば、一度だけ自分ができる全速力の「早口」でそのニュースを読んでみます。
すると何が起こるのか。
必ずどこかでかみます。
その時に心の中でガッツポーズです。
通常のスピードでは読めた文章が、全速力にギアチェンジしたことで、数か所スムーズに読めないのです。
そこには様々な理由が考えられます。
そもそもその言葉が自分にとって発音しにくい、その文章の繋ぎ方が自分には心地よくない、ページをまたぐことで何かつまずきが生じる、、
全速力という負荷をかけることで、読み手には当初見えていなかった弱点が浮き上がってくるのです。
これ、プレゼンに大いに応用ができます!
皆さんが、一所懸命調べたデータ、作成したパワーポイント、試行錯誤した「つかみ」、そういったものを散りばめて展開するプレゼンテーションや自己PR。
何度も練習し、ある程度自分の頭の中でまとまったと思ったタイミングで、是非この「全速力走行」をやってみてください。
ゆっくりと、間も意識しながら練習をしたその最後にやることがポイントです。
自分にとって苦しいスピードで同じプレゼンをやってみるのです。
すると必ず、どこかでつまります、忘れます、間違えます、飛びます。
その部分、メモするなり印をつけるなりして覚えておいて下さい。
凍った湖でスケートをするイメージです。
数か所、薄くなっている氷があります。
その氷は、上から見ていては気付かないのですが、実は滑ってみると本番で大きく崩れる可能性が高い危険個所なのです。
頭が真っ白になるスピーカー。
ピッチイベント(若手起業家が投資家に向けて行う短いプレゼン)の司会をしている時にたまに目にします。
この頭が真っ白になる箇所、氷が割れる箇所を、事前に見つける方法がこの全速力走行です。
私は普段生放送に臨む前「もう大丈夫!」と確信した、例えば約20分のプレゼンを、時間があれば全速力の7分ぐらいで展開してみます。
すると出るわ出るわ、自分がフリーズしてしまう箇所の嵐。
次の言葉が出てこないページ。
そこには赤ペンで印をつけておきます。
「ここは、自分が忘れてしまいがちなポイント。何度やってもつまる箇所。t飛ぶ可能性がある章。」
これを頭に入れておくだけで、その部分が近づいてきた時に心の準備ができます。
本番では、そこだけは手元資料を何度もチラ見したり、スピードを落としたり、手前で一呼吸おいたり、氷を割ってしまわない対策ができるのです。
こういった薄氷を事前に見つけておくことが、大きな安心と自信に繋がります。
完全に停止してしまったらどうしよう、頭が真っ白になったらどうしよう、この不安から解放されるからです。
大丈夫です。
全速力走行を試したことで、薄い氷がどこにあるのか、手にとるようにもうあなたには見えています。
冷たい湖に転落する可能性は限りなく低いのです。
思いっきり、気持ちよく湖面を滑ってください!
次回は「気付かせないトレーニング」です。
ご参考までに、最近の私のプレゼンです。
まあまあ、噛んでますね。