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何者かになりたくて、マルチ商法に片足突っ込んだ話

大学1年性の時、ぼくは典型的な意識高い系だった。

ただ、幸いにも、「意識高い“系”なだけではダサい」という感覚は持っていた。

「何か行動せねば。しかも周りの誰もやっていないような何かを」

そう思いながらも、大学生当時の自分にはバイトに明け暮れる以外の選択肢しか分からず、悶々とした日々を過ごしていた。

そんな折、同級生から「ネットビジネス興味ない?」とのメッセージが。

今だったら迷わず未読無視しているのだが、当時はその辺のリテラシーは全く無く、むしろ「待ってました!」という心境だった。

すぐに会って、色々な話を聞かされた。おそらくセミナーでの話をそのまましただけだと思うけど。

・インターネットを活用したビジネスがこれからは主流になる
・今ヤフオクよりメルカリが熱い(※2015年頃の話)
・大手企業を脱サラしてこのビジネス一本で生活している人もいる
・転売がメインだが、人を紹介すれば紹介報酬も手に入る
・決して違法なことではない

今この話を真面目にされたら、逆に関心してしまうけれど、当時刺激を求めていた自分はなぜか妙にワクワクしていた。

結局まんまと同級生の口車に乗せられ、そのビジネスをやってみることにした。


結果的には、速攻で辞めた。


辞めた理由は主に以下の2つ。

・界隈の人たちに魅力を感じれなかった
・“お金を稼ぐためだけ”に頑張れなかった

ネットビジネスに関わり始めてから、よく西新宿に足を運ぶようになった。

新宿アイランドタワーのカフェによく集まっていて、先輩の事例やノウハウ共有が盛んに行われていた。

最初はただただ「すげぇ」と思っていた。

自分と大して年齢が変わらないのに、身だしなみが洗練されていて、話ぶりもデキる大人に感じられて、何もかもが自分より上だと感じた。劣等感とも憧れとも言い難い、今まで感じたことのないような感覚。

話を聞いてみると、ほとんどの人は「ラクしてお金を稼ぐため」にやっているようだった。

時間やお金に縛られない生活を送りたい、海外で悠々自適に過ごしたい、要するに「自由でありたい」といったところ。

自由を手に入れるとか、お金を稼ぐこと自体には自分自身も憧れていたし共感していたけれど、どうしてもそのためだけには頑張れなかった。

「誰かの役に立っている」という実感が無かったからだ。

確かに、転売や紹介を通して誰かのためになっているとも言えるけれど、当時アルバイトでやっていた塾講師の方がよっぽどやりがいを感じられた。

明確に「誰かの役に立っている」という手触りがあったから。

今思えば、そんな“善人マインド”は一回捨てて、がむしゃらにお金を稼ぐためだけに頑張ってみても良かったかなと思うところはある。

それに、自らの理想や目標に向かって頑張る、という意味では界隈の彼らから学べることはもっとあったのかもしれない。

もちろん、「偽ったり騙したりして、誰かを傷つけなければ」という前提ありきで。

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ぼくは、ネットビジネスを通してお金も自由も手に入れることができなかったけれど、大学1年生という早いタイミングで重要な気づきや経験を得られた、という点では良かったと思っている。

・「人の役に立つことでお金を稼ぎたい」との価値観に気づけた
・周りがやらないことに思い切ってチャレンジし、少し自信がついた
・「起業」や「ビジネス」に漠然とした興味を持つきっかけになった(当時、ビジネスの意味も知らなければ、「起業」の言葉自体知らなかった)

片足突っ込んだだけなので、ネットビジネスやマルチ商法についてあれこれ偉そうに言える立場ではないのだけど、片足突っ込んで良かったし、突っ込んだのが片足だけで良かったと思っている。

実際、そのビジネスはすでに解体しているし、界隈の人たちの良い噂も全然聞かない。

自分は巻き込まれた側だけれど(笑)、自分が誰かを巻き込む前に辞めて良かったとホッとしている。

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最近、自分の過去の体験を振り返るのにハマっている。

なんやかんや、誰もが通りそうな道を自分もしっかり通っていて、失ったものもあったけれど、こうして話のネタにできると思えば良い経験だったのかもしれない。

マッチングアプリでのお話もぜひ笑ってやってください。


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おがたのよはく
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