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「付加価値のつくりかた」(田尻望著)を読んでみた

今年は「帰属から独立へ」がテーマの年になると思い、自分の裁量で物事を進めるために参考になりそうな書籍を読んでいます。

本書は、元キーエンス社員である著者によって執筆された、仕事における「付加価値」の重要性とその実践的な方法論を解説した一冊です。

ビジネスパーソンや経営者にとって、売上や利益の向上、さらには業務の効率化に欠かせない「付加価値」を、誰にでも実行可能なスキルとして具体的に示しています。

「付加価値」という言葉はビジネスシーンでよく耳にしますが、その正確な定義や具体的な作り方は、意外に知られていません。

本書は、「価値」とは何かを明確にし、具体的な方法論を提示することで、読者が自身の仕事や組織における付加価値を最大化できるように導きます。

本書では、付加価値の基本概念、キーエンスでの実例、具体的な手法、そして実践的な活用方法が体系的に整理されています。


本書の概要

第1章:付加価値の基本概念

本章では、「価値」の定義から始まり、なぜ付加価値が重要なのかを解説しています。

「価値」とは単なる製品やサービスそのものではなく、顧客にとっての有用性や満足度を指します。

そして、付加価値を生み出すことがビジネスの成功に直結するという考えかたが示されています。

第2章:付加価値の構造と本質

付加価値を生み出すためには、顕在化しているニーズだけでなく、潜在的なニーズを理解することが重要です。

具体例として、潜在ニーズを捉えた商品がヒットした事例が紹介され、付加価値を体系的に作り出す仕組みが解説されています。

第3章:キーエンスに学ぶ付加価値の創造

キーエンスのビジネスモデルは、「最小の資本と人員で最大の付加価値を生む」という考え方に基づいています。

標準化されたプロセスや独自の営業構造がその成功を支えています。

他社がキーエンスのようになれない理由も含め、実践的なヒントが紹介されています。

第4章:法人顧客向けの付加価値

法人顧客において付加価値を生み出す際の6つの要素(例:生産性向上、リスク回避、コストダウンなど)が取り上げられています。

これらの要素を組み合わせることで、付加価値を最大化する方法が解説されています。

第5章:ニーズの発見と付加価値の伝達

顧客のニーズを「明確かつ完全に」理解することが、付加価値創造の出発点です。

本章では、「特長」ではなく「利点」を伝える重要性や、価格決定における付加価値ベースの考えかたが提示されています。

第6章:付加価値の展開と最適化

付加価値を最大化・最適化するための「価値展開」の考え方を説明します。

マーケティングの視点や、バックオフィスでの付加価値創造についても触れられています。


本書の活用法

具体例1:家事における付加価値の創造

例えば、日々の家事を「作業」ではなく「仕事」として捉え直し、効率を上げる方法を考えることで付加価値を生み出せます。

単なる料理ではなく、家族の健康を考慮した栄養バランスの工夫や、食材の無駄をなくす冷蔵庫管理の仕組み作りは、家庭における付加価値の好例です。

具体例2:職場での業務改善

職場での会議運営を例に挙げると、会議の目的を明確化し、参加者の役割を事前に共有することで、時間を有効活用できます。

また、議事録を付加価値のある形(例:次のアクションを明記する)で残すことで、参加者全員が次のステップに進みやすくなり、生産性が向上します。


わたしの感想

本書を通じて、付加価値とは単に「お金を稼ぐための手段」ではなく、「他者の生活や仕事を豊かにする手段」であると再認識しました。

著者のキーエンスでの経験をもとにした具体的な事例や方法論は非常に説得力があり、誰でも取り組める形で解説されています。

特に印象的だったのは、「特長ではなく利点を語る」という考え方です。

この視点を持つことで、相手が何を求めているかを深く理解し、真に価値ある提案ができるようになります。

一方で、付加価値の創造には努力や工夫が必要で、簡単には実現できない部分もあります。

しかし、本書の内容を意識して日々の仕事や生活に応用することで、少しずつ自分や周囲の環境を良くしていける可能性を感じました。

この本は、ビジネスパーソンだけでなく、日常生活の中で価値を生み出したい全ての人におすすめしたい一冊です。





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耀興
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