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"指ヨガ" 手指をほぐせば体がほぐれる!胡散臭ッ!!
指ヨガとは手だけ動かすヨガである。
胡散臭い!
しかし怪我をして体が動かせない期間に試して効果を実感。指ヨガを行うと体を動かせる範囲が広がり疲労も軽減した。
手は全身に影響を与える。今回は病気や怪我で体を思い通りに動かせない時でも気軽にできるヨガ、“指ヨガ”。について紹介する。(1952文字)
1. 出会いは解剖学
RYT200(ヨガインストラクターの資格の一つ)で解剖学の講義中、後屈系ポーズ(上体を後ろにそらせる系)が苦手という話から手と全身の話へ。
中指を動かす事で後屈が深くなると言うのだ。
やり方は次の通り
【後屈が深くなる中指ヨガ】
・中指の第一関節をグネグネねじる
・中指の第二関節をグネグネねじる
・手のひら上向きにして息を吐きながら
逆の手で中指を手の甲側にそらせる
・深くゆっくり呼吸しながら指の位置キープ
(10秒程度)
・息を吸いながら指を戻す
・呼吸に合わせて三回繰り返す
その後、後屈を行うとやりやすい!
回旋(体をねじる動き)でも指が動きに影響を与える。
腕を胸の前でクロスした状態で
A: 親指を意識しながら体をねじる
B: 小指を意識しながら体をねじる
A、Bどちらがより体をねじる事ができるだろうか?
答えはB。
親指は大胸筋に、小指は前鋸筋(肩甲骨と背骨を繋ぐ筋肉)に繋がっている。親指を意識すると大胸筋も連動。鎖骨や肩の動きが制限される。すると当然ねじりも浅くなる。
小指を意識すると前鋸筋が働きやすくなる。肩甲骨を動かす筋肉だ。肩甲骨が動きやすくなればねじりが深くなるのはイメージできると思う。
指を意識するだけで動きは変わるのだ。
ちなみに宮本武蔵は五輪書の中でこう述べている。
太刀のとりやうは大指ひとさしを浮ける心にもち、たけ高指(中指)はしめずゆるまず、くすし指小指をしむる心にして持つ也。
親指・人差し指は緩め
=上体の動きを制限する大胸筋はゆるめ
中指は中立
=背骨は緊張させず、ゆるめず
薬指・小指を締める
=打撃、剣を振る動きに極めて重要な前鋸筋を活性化させる
達人がわざわざ伝書に記すのだから意味のある指の使い方なのだろう。
指は体に影響を与えるのだ。この思想が指ヨガの根底にある。
【余談】
五輪書は身体の使い方について様々な知見が得られる名著。様々な出版社から訳本が出ているが読みやすいと感じたのはKADOKAWA社のビギナーズ日本の思想シリーズの一冊だ。原文と現代文訳が並び、注釈もついて読みやすい。
2. 指ヨガとは?
指ヨガは部分即全体という東洋医学の思想に基づいている。
部分即全体とは「手・足・耳というひとまとまりの場所(部分)に全身(全体)の情報がある」という思想[1]。
この部分即全体の思想に基づいて、手と指の動きを通じて対応する体の部分を緩め柔軟性を高める健康法、指ヨガが作り出された。
歳を取ったり、怪我をしたりして体を動かすヨガはできなくても指ヨガならできる。しかも健康効果大。
ただし気をつけてほしい事が一つ。それは呼吸。呼吸はヨガの要。指ヨガとて例外ではない。
冒頭で紹介した中指そらしで、呼吸に意識を向けながら行った場合と向けずに行った場合で心地良さと効果を比べてみると呼吸の重要性が理解できるだろう。
呼吸は難しく考えず基本的に伸ばす動きの時は息を吐き、縮める動きの時は息を吸うようにすればよい。そして体の感覚を味わう。これは指しか動かさずとも完全なヨガである。
3. 手と脳の小人
カナダの脳外科医ペンフィールドは脳のどの部分が、体のどの部分を司っているのか、体の各部は脳のどのくらいの領域を使っているのかを調査した。
そして脳の使われる領域の大きさを人体に投影したのがこちら、ペンフィールドのホムンクルスだ。
キモッ!
手と唇が異様に大きい。それだけ脳の多くが使われているのだ。好きな人と手を繋いだり、キスをしたくなったりするのも頷けよう。
手は脳の状態を表す。緊張したらせわしなく動いたりギュッと握りしめたりする。逆もしかり。手が緊張すれば脳が緊張する。では手をゆるめると?
指ヨガは露出した脳である手を刺激することで心身のゆがみを修正し、本来あるべき自分の姿に近づけていくという[1]。
手がゆるめば脳がゆるみ、脳がゆるめば心身ともに自然な姿となる。指ヨガなかなか奥が深そうだ。
参考文献[1]:龍村式 指ヨガ健康法の紹介
参考書籍には首、肩、腰、膝等のセルフヒーリング用指ヨガと、ヨガのポーズを助ける指ヨガ(前屈、後屈、回旋、側面伸び、開脚etc...)が紹介されている。
二人で行う指ヨガもあるので、大切な人の手をマッサージしてあげる事にも活かせよう。おススメの一冊である。(私は一人で中指をスリスリしている。)
[1] 龍村 修, "龍村式 指ヨガ健康法", 日貿出版, 2009年初版発行, 2019年電子版発行