夜を貫き走るように
現代に生まれた新たな夜行列車。
本日は「WEST EXPRESS(ウェストエクスプレス)銀河」のデビュー1周年だそうだ。
リクライニングの座席や簡易寝台、誰でも立ち寄れるフリースペースなど、多種多様なニーズに応えられる内装となっている。
往年の寝台特急を彷彿とさせる深い青の車体。
運転席上のライトはかつての国鉄型特急電車を思わせる。
ここからは自身の夜行列車の思い出を語りたい。
夜行列車と聞いて思い起こされるのは、新宿と新潟を結んでいた快速「ムーンライトえちご」である。
「青春18きっぷ」と合わせて、東京方面に行く時によく利用した。
22時過ぎの新潟駅のホーム。
多くの通勤客を乗せて、次々とホームを発つ列車。
その中にあって、明らかに異質な集まりの中に身を置いていた。
お待ちかねの列車の到着。
これから夜を徹した長旅が始まる。
席に着いた瞬間からドキドキとワクワクが止まらない。
「ムーンライトえちご」は主に国鉄型特急車両485系を使用。
座席は通常のリクライニング。昼の列車と変わらないが、室内灯の減光はある。
乗車には運賃のほか、座席指定券が必要となる。
つまり実質宿泊料金が510円(当時)で、しかも寝ている間に移動できるということで重宝していた。
当選ながらお風呂はもちろん、シャワーもないため、旅程に公衆浴場への立ち寄りも入れていた。
翌朝から活動を始めるために少しでも寝たいのだが、これがなかなか眠れない。
何度か乗ったがあまり眠れた試しがない。
小刻みに寝ては起きてを繰り返して、たまにデッキに行って気分転換をしながら、夜の上越路を駆けていた。
朝4時を回り、空がうっすら明るくなる。
列車はすでに首都圏に。
京浜東北線や山手線などの始発列車が続々と動き出す。
10両以上の長い列車が次々と車窓に映る。
眠い目を開いてその光景を見ては遠くに来たことを実感して、気分は高まった。
やがて列車は終点の新宿駅に滑り込む。
余韻に浸るのもほどほどに、次の列車に乗り込む。
さてどこへ行こう。1日はこれから始まるのだ。
まぁ、次の列車で爆睡するのがお決まりのオチだった。
目が覚めたら見知らぬ土地に。
そんな旅をもっと気軽に楽しめるような列車が増えて欲しい。
例えば、かつての「北斗星」を四季島ベースの車両でより手軽に乗れる仕様にして復活するのはどうだろうか。
室蘭本線を経由すれば将来札幌まで開業する北海道新幹線との棲み分けも出来そうだ。
「WEST EXPRESS銀河」を受けた将来の動きに期待したい。