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白装束

■2024年(両親81歳)

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父 入院13日目 続き(14)

12:00 父の個室に戻る。

父、白装束になっている。
両手をお腹の上で組まされた格好になっていた。
どうやってやるんだろう。
結構たいへんなのだろうか?

病院内で早くもこんな白装束姿になるものだとは思ってもみなかった。
病衣から白装束に変わっただけで、ずいぶんな浮世離れ感を醸し出す。

看護師さんが顔を拭いてくれたようで、鼻の穴のまわりにこびりついていた真っ黒い血の塊もいくらか取れてきれいになっている。

また姉が父の瞼をくいっと上に上げ、父の黒目が見える。

父はまるで口を開けてスヤスヤと眠っているみたい。

穏やか。

鼻と耳に白い脱脂綿が詰められている。

白装束の足元の裾をそっとめくってみると、オムツはあてたままになっていた。

隈なく父の体を目に焼き付ける。

父のベッドに乗り込み、抱き着いて写真を撮ってもらう。

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