成り代わりたい
■2024年(両親81歳)
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二女、三女と訪問 11時頃
別荘に向かう車の中で、「今日はばぁちゃん起きているでしょうか?」クイズをする。
娘たちは口をそろえて「起きてなーい」。
到着すると、もれなく母は1Fの宿泊室で寝ていた。
娘たちの予想通り。
ベッド脇に置かれていたピカチュウとドラえもんのぬいぐるみを、二女が母の枕元にせっせと並べ込む。
その後、ベッドのリクライニングボタンを手慣れた手つきで操作する。
「頭が上がります、頭が上がります」と電動音が鳴り、母の上体が起こされる。
娘たちがベッドの上に乗り、ぴょんぴょん跳ねる。
何をしても母は一向に目を開かない。
わたしもベッドの上に乗り込み、「お母さん、尚子!」と何度も呼びかけていると、「うん」とやっと応答する。
その後、うっすら目を開く。ほんの1、2ミリ。
「あ! ばぁちゃん目開けたよ! 来て来て!!」と娘たちを呼ぶ。
「ほんとだ!」と、娘たちも母の顔を覗き込む。
二女がニコニコしながら母の手を握る。
母、さっきよりだいぶ大きく目を開いているが、言葉は発せず。
今の母には、この世界がどう映っているのだろうか?
わたしたちの呼びかけには、どんなふうに感じているのだろうか?
ほんの少しでいいから母に成り代わって実感してみたい。