ACV1億円超へ導く!エンプラ向けカスタマーサクセス部門のアップセル支援で大事な4つのポイント
こんにちは、テックタッチのVP of Customer Success/Operationsの垣畑と申します。経営者note連載として、今年も当社のエンプラCSチームについてご紹介したいと思います。
昨年、別の記事でセールスチームとの連携についてご紹介したのですが、今回はCS自身による、売上最大化のための具体的な活動内容を共有させて頂きたいと思います。参考にしていただければ幸いです。
前提)テックタッチのカスタマーサクセスチームの役割
当社のカスタマーサクセスチームの役割は大きく以下の3つと位置づけています
①土台としての、「テックタッチ」によるお客様の価値創出の支援と、それに伴う契約更新
②セールス活動(特にアップセル)の支援
③サクセスに必要な有償サービス(プロフェッショナルサービス。以下PS)の開発と提案、および実際の支援
メインのミッションはあくまで①の契約更新となります。チームの頑張りのおかげでchurn率は0.5%以下に抑えられており、この水準を維持していくことを最重要目標にしています。
そして本稿の主題になっているのが②と③に関わる活動です。
②に関して、当社は特にアップセルに強みを持っており、シングルプロダクトにも関わらずNRRで130%を超えています。これはもちろん主にセールスチームの努力の賜物なのですが、CSとしてもお客様に価値を届け、また本稿でご紹介するような幅広い活動ができていることも下支えになっている、と自負しているポイントになっています。
また③のPSに関しても、あくまでサクセスの下支えが大目的ではあるものの、結果的にはPSの売上だけでCS/PSチームのメンバーの人件費をカバーできる水準に達しており、プロフィットセンターとしての役割を投資家の皆様からも高く評価いただいています。
これらの活動は、自社の財務が改善することのみならず、日本のDXが必要とする質の高い支援のありかたにも直結していると考えています。以下で特に重要と考えているポイントを、事例と併せてご紹介させてください。
ポイント①
リーダーシップを持つお客様キーパーソンとの関係構築のためには工数を注ぎ込む価値がある
エンタープライズ向け事業では営業プロセスや契約からの導入準備が長期化しがちですが、その過程で特にお客様社内の影響力が高く、またDX推進に特に高い志をお持ちのキーパーソンを見つけることができたら、勝負をかけてリソースを集中させ、信頼関係を構築しに行きます。
具体的には、当社の担当CSマネージャーが自身とチームの工数を集中させ、要件の整理や実装の詳細のみならず、「ぶっちゃけテックタッチとは直接の関係は強くはないかも」と言えそうなことまで、先方の期待値を上回る支援を行うことで強い信頼関係を築いていきます(目標としては、そのマネージャーから直接電話したり、飲みに行ける関係を目安にしています)。
こうした場合、キーパーソンの方の強いリーダーシップも組み合わさって、プロジェクトのスコーピングやお客様のリソース状況に合わせたベストの体制構築のご支援を相談、合意できる、というメリットも大きいです。こういう素晴らしいリーダーと会うことで、お客様に足りないリソースや知見を理解し、次段で述べる当社のプロフェッショナルサービスもメニュー化を進めることもできています。
大手製造業A社の事例(社員50,000人~規模)
A社様は誰もが知る超大手製造業様です。このお客様のキーパーソンはIT本部長の方で、グループ再編の大きな変革の中でDX推進を担っておられます。
セキュリティ周辺の対応や導入のスコーピングを通じて関わりが生まれ、担当マネージャーが導入初期からかなりの工数を投資して信頼関係が構築できた結果、プロダクトの良さをお伝えできただけでなく、この方が推進するDXの成功のためのツールと位置づけていただくことができ、CS主導で様々なグローバル案件を含むビジネス拡大に結びつけることができています。
ポイント②プロフェッショナルサービスのメニュー拡充は極めて有効
エンタープライズ向けCSではプロフェッショナルサービス(PS)メニューとの組み合わせ支援は極めて有効です
(参考までに、当社では現在、現場の作業代行といったよりシンプルなご支援に加え、戦略策定、体制構築、データ収集・分析など上流プロセスのコンサルティングサービスも用意しています)。
領域が広がり続けるDX分野に関しては、大企業の各社様は豊富な資金力とは裏腹に、DXに必要な知見を持った人材の育成・確保に苦心しておられます。これをPSによって、少なくともテックタッチ実装の成功に必要な部分を当社が補完することで、案件の成功確度を格段に上げることができるものです。
前述の通り、アップセルのためにはLand&ExpandのLand部分に該当する初回プロジェクトの成功が不可欠ですので、PSをうまく開発・提供し成功の武器を増やします。特に大規模導入案件では、必ずと言っていいほどこのPSも合わせて提案するようになっています。
大企業のDXに於いて、システム導入に関しては外部のコンサル・SIerの活用が一般化していますが、カスタマーサクセスの領域である運用・活用高度化のフェーズまで、ベンダーとして有償で支援していくことへのニーズは極めて高いという手応えを感じています。
外資の各SaaSプレイヤを中心に、有償CSは一般的に提供されていますが、ここをいかにリーズナブルなコストで(効率を上げ最大限の成果が得られる状態にして)、より幅広い顧客に提供できるか、突き詰めていきたいと考えています。
なお、PSの開発の副産物として、CSチームがプロフィットセンターとなることで支援の自由度を高められることが挙げられます。自分たちで稼いでいるので工数を必要以上に気にすることはなく、ひたすら価値提供に集中することができ、結果的にお客様とWin-Winの形を作ることができます。
逆にもしここを無償で実施してしまうと質の良い支援を継続的に提供できなくなるため、購入いただきやすいリーズナブルな範囲で、きちんと有償化するのは大前提となります。
ポイント③
セールスチームと二人三脚で草の根の
アップセル活動を進める
アップセルはトップダウンの、経営に近い層のリーダーシップのみならず、現場の課題感・焦燥感も重なることで、モメンタムを生み出しやすくなります。
この現場の巻き込みに向け、ニーズ喚起の勉強会、詳細なプロジェクト提案など、お客様に行動を起こして頂ける材料を、セールスと共同でボトムアップに積み上げていきます。
大手製造業B社の事例(社員80,000人~規模)
B社様はテックタッチ導入は一部門から始めて頂きました。当社はまだ黎明期で、大手中の大手のお客様でしたので全力支援した結果(今の通常の案件の8倍ほど時間をかけた記録が残っています。笑)、他部門の方が評判を聞きつけられ、最初のアップセルにつながりました。
その後、セールスチームが他部門にも順にアプローチしていく中、CSチームも共同で以下のような活動を続けました。
会社、プロダクトとしての「テックタッチ」の良さを幅広くお伝えしていくため、社内での部門横断での勉強会を行いニーズを発掘。
カギとなる部門には担当マネージャー渾身の、成果の出せるプロジェクト計画(スコープ、スケジュール、体制)を解像度高く、継続的に提案し続ける。
プロジェクトの推進に必要な人材を一部、PSとして拠出し、実行力の担保までコミット(上流ではなく、より現場に入り込み事務作業からプロジェクトマネジメントまでお客様の事務局とともに遊撃手的に動ける人材をアサインしました)。
現在では5以上の部門、10近いシステムにまたがってテックタッチを導入いただく、当社最大規模のお客様のひとつとなっています。
また、このようなボトムアップでの支援活動を支える施策として、コミュニティも立ち上げています。
上記のような勉強会に加え、お客様のガイドデザイナ(テックタッチのガイド実装を担う方々)のエースが集まり、テックタッチの実装力を競う「テックタッチグランプリ」、お互いのオフィスに出社し各部門のMTGに参加したりインタビューしたりする「交換留学イベント」などを通して、エンプラ向け事業らしく対面での、クローズドなコミュニティを作っています。
(これについても非常に面白い取り組みになっているので、別途どこかでご紹介させてください)
ポイント④
事例展開は狙って導入成功させ、
みんなで広げていく
SaaSベンダーがその価値をお客様に伝える際の最大の武器は導入成功事例です。ここを迫力を持って語ることができるのは、最前線でその成功を支えているお客様や、そのプロジェクトを支援したCSメンバーです。
これまでにお伝えしたような支援を通じてお客様に成功いただけた後には、ぜひお客様の口から製品のよさを語ってもらいましょう。個別案件の解像度が最も高く、現場の皆様との関係値を最も強く持つCSチームとして、この事例展開を担っていきます。
大手製造業C社(社員30,000人~規模)
間接材の調達システムで先進的なコスト削減の取り組みを進めておられ、当社としても特にモチベーション高く支援を開始させて頂いたお客様です。単に「操作の迷いを無くす」ためのテックタッチ利用を超え、コスト削減のオペレーションを案内するようなテックタッチの実装で成果を出して頂くことができました。
ただ、注力してご支援させて頂いた理由は他にもあり、C社様は業界を問わず様々なシステムの活用に関する高い発信力をお持ちで、多くのエンプラ企業様が同社の意見を参考にされていることから、C社様からの当社ツールの見え方が、結果的に何倍もの数の会社様の評価につながると捉えていたためです。
担当したメンバーが前職のSaaS CSだった頃からの思い入れのあるお客様であったこともあり、ご質問やご要望には最速で、時にハンズオン度合いを高めて対応し、積極的に改善提案をを続けてくれました。
テックタッチ利用のCS活動のみならず、C社様の製品を、当社ユーザー会に参加されている多くの大企業の皆様にご紹介させて頂いたり、テックタッチ社内での勉強会を開催させて頂いたりと、微力ながらできる限りWinwinの関係を築けるような行動を続けてくれました。
(プロダクト自体の評価以外はある種、本質的ではない面もある一方、こうして交流させて頂くことで、CS活動の中でもより積極的な提案がしやすく/受け入れていただきやすくなったのは事実だと考えています)
その結果、C社様の参加される様々なユーザー会でテックタッチをご紹介頂けたり(良い面も至らぬ面も率直に共有いただいたとお聞きしています笑)、新規でテックタッチ導入を検討中の他社様によるユーザー訪問・インタビューを受けて頂いたりすることができ、多くの新規のお客様にテックタッチを導入頂くことにつながりました。
まとめ:
"稼ぐCS"チームの前提にある当社の考え方
以上、様々なパターンでCSの支援活動とアップセルやPS売上をつなげ、活動のシナジーを出すことができた事例をご紹介させて頂きました。
まとめますと、当社の現在のアップセル支援やPS売上は以下の要素に支えられていると考えています。
前提として、当社の領域はお客様にとっても未知なので、最初の導入は何が何でも成功させるスタンスで望む。
これを可能にするため、柔軟で超ハイタッチなCS活動ができるメンバーの採用と育成に力を入れる。
キーパーソンのファインディングと関係構築には労を惜しまない。
また、支援の領域を限定せず成功のためあらゆる手を尽くすことができるPSのラインナップを用意する。
せっかく形にしたプロジェクトの成功事例なので、先々にみんなで広げることを視野に入れておく。
こうやってまとめるとどれも当たり前のことではあるので、むしろこれを常に念頭に置き、やり切るマインドセット、ケイパビリティのあるチームであり続けるのが最も大変な気がしており、これからも採用・能力開発には最注力していきます(良かったら能力開発についてのこちらの記事もご参照ください)。
特に2025年はこれまでで最大規模の採用を考えており、一緒に大企業DXを支援できる仲間を引き続き、全力募集していますので、興味を持って頂けた方はぜひご連絡ください!
最後まで読んで頂きありがとうございました。