見出し画像

深夜の独り言 22

最近よく、夢を見ます。怖い夢です。深夜にうなされて起きてから、しばらく布団の中で、その夢をどうハッピーエンドにこじつけるか考えます。考えているうちにまた寝てしまって、さっき頑張ってハッピーエンド直前までいったのに、また怖い夢になったりします。

春がきました。とうとう、父が二度目の単身赴任で引っ越しました。父がいなくなってから、母はやりたい放題です。前に父が家にいなかったときはこんな感じだったなあと、思い出す日々です。

母は、すごく良くいうとジャイアンみたいなひとです。おまえのものも、おれのもの。私が産んであげたんだから、娘も、娘の持ちものも全部私のおかげで存在していると思い込んでいるような。間違っているわけではないから否定できず、私はずっと母のものとして生きてきました。

姉は飄々とかわしていました。例えば大学生になった年に急にピアスを開けてきて、母が大激怒。でも開けちゃったんだからしかたなくない? と、開き直り。父の赴任中、だんだんと姉が母に言い返すようになるうち、母の私への八つ当たりも強くなっていきました。

怒ると手をあげるひとだったので、毎日暴力を振るわれていた時期もありました。姉には「なんでやられっぱなしなの? いい子ぶってるわけ? 見てられない」と言われました。いい子ぶっていたわけではありません。幼かった私は、やり返すという選択肢を知らなかったんです。

母は、たぶん、悪いひとではありません。私たちへの愛がないわけでもありません。素直で、わがままで、頭が悪いんだと思います。私たちのこともかわいいけれど、それ以上に自分がかわいい。それを隠しきれずに、感情をむき出しにしてしまう。

こんな母に育てられたからこそ得られたことがたくさんあります。親に感謝することは、母から教えてもらいました。今まで不自由なく学ばせてもらえたことは間違いなく母のおかげですから本当に感謝しています。反面教師にしていることもいくつもあります。この母だから、私がいます。

この二年間で、母が悪いひとではないということに気が付きました。父が家にいた二年間はとても平和でした。きっと母のなかでの優先順位は、夫、自分、娘たちなんだと思います。

もう母も年をとって、私も大きくなりましたから、暴力を振るわれることはないでしょう。でも、またストレスが溜まると母がどんなふうに暴れ出すか、怖いです。一度ハッピーエンドが見えてしまったから余計に、そうでなくなるのが怖い。

月夜の口紅 という短編を投稿しました。大人がどうとか、こういった思いは時間が経つと変化するものだと思います。今しか書けないものを書きたいと思って、半年くらい前に書いたお話です。さすがに暴力は書けなかったので家での態度は全然違いますが、母と私を描いたものでした。最後のシーンは願望です。私が意図的に作り上げた、ハッピーエンド。

父のいない我が家の夜は、静かな、とても暗い夜です。何度も泣き明かしたこの夜に、月明かりが射し込みますように。何度も襲ってくる怖い夢が、意図的にでもいいから、ハッピーエンドにたどり着けますように。もっと贅沢を言えば、怖い夢なんて初めから見なくて済むくらい、安心して眠りにつけますように。

月夜の口紅のエピローグが書けたら、投稿しますね。


夢を見た夜に、



深夜の独り言。

この記事が参加している募集

最後まで読んでくださってありがとうございます。励みになっています!