「香りと記憶」と「春キャベツの塩もみ」
香りというのは記憶と分かちたがく結びつくものです。特異なのもだと「あの時のあの香りだ」と過去のある地点の記憶がピンポイントでフラッシュバックすることすらある。
カルキの匂いは市民プールを、
ベビーカステラの香りは地元の夏祭りを、
脱色剤(メガブリーチ)の香りは中3の夏休みを、
鼻をしこたまぶつけた時の「痛い匂い」は少年サッカークラブでの顔面セーブを思い起こさせる。
(僕はサッカーがとても下手だった。)
今朝は今朝とて、寝起きのまくらのフレイヴァーより父の面影を嗅ぎ取り「ああ、僕も父になったのだなあ」と宿酔いのあたまの片隅でぼんやり思ったのであります。
さて、宿酔いということはすなわち「前夜のお酒が進んだ」ということになりますが、それもこの一皿のおかげ(せい)かもしれない。グッとお酒を引き寄せる洒落の効いた簡単おつまみ。
「春キャベツの塩もみ」
なんだい、ただの塩もみかい。
期待して損したぜ、おい帰ろうぜ!
と思ったそこのあなた、ちょっと待ってください。
なんちゃあない、平凡極まる「キャベツの塩もみ」は二つの材料を得ることで「素晴らしい酒肴」へと昇華するのです。それが、、
「ヘーゼルナッツオイル」と「良質な塩」。
良質な塩で揉みもみしたキャベツにヘーゼルナッツオイルをかけるだけなのですがこれがまことに素晴らしい。
柔らかシャキシャキの食感とヘーゼルナッツのまろやかで芳醇な香り。
セボン!トレボン!イイキボン!
スタンディングオベーション間違いなし。
白ワインがどんどこ進む。
僕はこれからヘーゼルナッツの香りを嗅いだ時には、きっと昨夜のことを思い出すのだと思います。
「香りと記憶」が結びつく一皿、
材料のハードルは高くとも一見の価値アリです。
是非に。
最後に
いーいツマミのレシピを教えてくれた中村秀樹シェフ、
素敵なおみやげをくださったAkiさんに
感謝を申し上げたい。
それでは、また明日。