#34 📖 読書感想 ライカとモノクロの日々 内田ユキオ
日付が変わる前に更新したかったのだけれど、残念ながら日付が変わってしまった。
本日はただの読書感想文である。
いつもとは違う形の記事となるので興味ある人以外はスルーして貰えたらと思う。
1.はじめに
X(旧Twitter)にて、こんな投稿を見かけた。
せっかくなので、モノクロ写真を撮って応募してみようと思う。
皆さんも良かったら参加してみて欲しい。
ただ、参加する為の条件は要注意である。
特定のカメラで、尚且つモノクロ撮影、JPEG撮って出し(トリミング不可)、SNSに掲載した事の無い写真のみ、というのがだいたいの条件となる。
私はこの手の応募はしてみた事が無いので、お試し半分ワクワクしている。
モノクロ撮影はたまにしかしていないのだが、カラー撮影より難しく感じる。撮影ノウハウなんかは持っていないからだというのもあるが、色が無い分、構図やどう見せるか、が大事になってくるのかなと思ったりする。
そんな風に思った時に棚に置いていた一冊の本に目が行ったのである。
FUJIFILMユーザーであれば、おそらく大体の人が知っているであろう写真家の内田ユキオさんの著書である”ライカとモノクロの日々”である。
内田ユキオさんについて詳しくは書かないのだけれど、YoutubeのX100の開発秘話にて顔を出していたので良ければ見てみてほしい。
2.感想
短編集として、内田ユキオさんの過去のお話やモノクロ写真が掲載されている。著作権的な意味合いで中身を見せる事は出来ないのだが、興味のある方は手に取ってみて欲しい。
特に”アンダーライン”や”いつでもいちばん青い空”が私はお気に入りである。
モノクロの写真に対しての思い入れがとても強いのだなという事もあるのだけれど、モノクロ写真の魅力的な部分が文章から滲み出ていて、淡々としているが情熱を感じる本だと私は思った。
特に、カラー写真の青空を見た場合にそれ以上に青く感じる事はないけれど、モノクロ写真の灰色の空を見た場合に、見た人の受け取り方次第で頭の中に思い浮かべる青空の色鮮やかさは、カラー写真のそれを超える時がある、もしくはカラー写真は新しく鮮やかさが更新される事はないがモノクロ写真は見る度に鮮やかさが更新されていく、という意味のエピソードである(という風に私は受け取った)”いつでもいちばん青い空”にはモノクロ写真の楽しさが伺えた。
また、この本の中には内田ユキオさんの幼少期の話やカメラを始めた経緯、初めてのカメラ等も綴られている。
ほぼほぼフィルムカメラの話がメインになるのだが、自家現像の楽しさにも触れている。自家現像をカップラーメンにお湯を注ぐ事に例えていたりするのも面白かった。
こういうのを読むと、フィルムの自家現像に挑戦してみたくなるものである。
そこには、デジタルカメラでRAW現像を行い写真を仕上げて行く事に似ているようで似ていない、フィルムカメラで撮影した後の最後の仕上げとも言えるし、一番のお楽しみとも言える所作があるようである。
あとは、撮影においても同じシーン、同じ人物でも、35mmフィルムのパトローネを1本使い、36枚の中から1番いいものを選ぶというストイックさ。
フィルムの現像にも現像液の温度や時間による違いが写真にも個性として現れる事。
時代なのかもしれないが、”1枚を仕上げる”とはこういう事なんだな。
アマチュアというか、趣味カメラマンの私にはそう思う場面が新鮮に感じられた。現像代が高い今だからそう思うのか、なかなかパトローネ1本を同じ場面で使い切る、という発想は無かった訳である。
フィルムカメラと比べて撮り放題のデジタルカメラですら、何十枚も同じ構図同じシーンで撮って撮って撮り切る、ということはした事がない。(せいぜい3〜5枚程度である)
また、作中で内田ユキオさんは、とある方の写真に魅入られてその写りの真似をしようとするとエピソードがあるのだけれど、本人に聞いた上で、でも同じ写りにならない”小さな何か“を探すのに必死になる部分も情熱を感じられる部分であった。
自分の中で考えて、”手探りでいろいろ試す”という写真の撮り方をしてみようと思えた1冊である。
読書感想文なんてものは学生の時以来かもしれない。
今回も読んで頂きありがとうございました。