【第1回】実はあまり知られていない腸の凄い役割
腸は「食べたものの消化や吸収」「便としての排泄」などの役割を担っていることは知っている人も多いのではないでしょうか。
実はそれだけでなく、腸は「身体全体の健康の要所」ともいわれるほど、私たちの健康に密接に関わっている臓器なのです。
腸は免疫機能の中心的な役割を担っています。腸には体内の約70%の免疫細胞が集まっており、体内に入った異物から私たちを守ってくれています。
また、学術雑誌の「サイエンス」は、腸内細菌の状態が薬の効果に影響を与えることを2019年に発表しました。
ほかにも、私たちの健康に欠かせないビタミンのうち、ビタミンB群とビタミンKを生成しています。
脳と腸は互いに影響し合っている
「緊張や不安を感じて急にお腹が痛くなった」という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
腸には脳に次ぐ多さの神経細胞が集まっており、脳機能の調整に腸内細菌が関わっているという研究がこの10年で増えています。
たとえば、うつ病の人はビフィズス菌や乳酸菌が少なく、「プロバイオティクス(適切な量を摂取したときに有用な効果をもたらす生きた微生物)の摂取でうつ病が改善した」という海外の研究や、「腸内細菌を持たないマウスは攻撃的になり、危険をともない行動が増加した」という研究結果が報告されています。
このような研究結果を踏まえて「腸内細菌はメンタルに影響を与える」という考え方が一般的になりつつあるのです。
また、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの大部分は腸で作られており、腸内で生成されたセロトニンは「腸を刺激してぜん動運動を促す」「大腸菌などの有害菌の毒性を下げる可能性がある」ことがわかっています。
セロトニンが分泌されると、今度はセロトニンを材料に睡眠ホルモンのメラトニンが作られます。
セロトニンとメラトニンが安定して作られることで「概日リズムが整い、自律神経も整い、腸の働きがよくなる」という好循環をもたらします。
ほかにも、神経の興奮を抑えたり、ストレスを軽減する効果がある「GABA」も腸内で作ることができます。
また、GABAは「高血圧の予防」や「睡眠の改善」にも役立つことがわかっています。
このように私たちの身体にとってさまざまな恩恵をもたらす腸ですが、無条件で働いてくれるわけではありません。
腸内細菌にエサを与えたり、腸の環境を整えたりしなければ、腸内環境は悪化し、さまざまな不調や疾病の原因となります。
参考書籍
※今回の内容は複数の書籍やYouTubeの動画などを参考にして自分なりにまとめています。そのため、著者の考えと違う点があることはご了承ください。
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