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本は体をあらわす
いま、2冊の小説を読んでいます。
近藤史恵さんの「サクリファイス」と、森博嗣さんの「笑わない数学者」です。
「サクリファイス」は仕事の昼休みに、「笑わない数学者」は自宅のすきま時間を利用して読み進めています。「笑わない数学者」はKindleで購入したので、入浴中に読むのがマイブーム。
わたしは基本、作者読みをしてしまいます。なんていったってその人が好きだし、「全作品読破するぞ!」という欲望がみなぎるから。
しかしいま読んでいる2冊は、いつも手に取る本ではありません。友達のオススメと、推しの好きな作家さんの本です。そして「オススメや紹介してもらった本は、積極的に読むべきだな」と感じています。
そう感じた理由として、大きくふたつあります。
まずひとつ目。オススメしてくれた人との共通の話題が増えるからです。
語り合えるジャンルが広がり、仲が深まるきっかけになります。同じ本を読んで、同じ場面で感動を分かちあう。スポーツで同じチームを応援し、すばらしいプレーや勝利に対し歓声を上げる行為と似ていると思います。
ちがう場面に魅せられたとしても、「そう考えるのか!」と新しい発見につながり、それはそれでおもしろいのです。
そしてもうひとつ。
オススメの本を読むことにより、その人自身を知ることができるからです。
「あの人が好きそうな展開だな」「恋愛小説が好きだなんて意外」など、相手の好みがわかります。
推しに関しては、たとえば「学生時代に読んで衝撃を受けた」と語っていたのなら「学生時代に読んだから、あのような考え方が根付いているんだな」と、推しの思想を汲み取ることもできるのです。
また、紹介された小説がいままで読んだことのない作家さんなら、その作家さんの特徴もわかります。
「サクリファイス」の著者である近藤史恵さん。初めて読んだのですが、いままで読んできた中で上位に入るほど、やわらかい書き方をする人だなと感じています。会話と改行が多いため空白も広く、サクサク読める。
「このやわらかくて、やさしい言いまわしが友達は好きなのかな」と思っています。そういえば、過去オススメされた本も穏やかな内容だったような……。
一方、森博嗣さんは硬いです。主人公が理系の助教授なので、数字がバンバン出てきます。調べてみると、森博嗣さんの書くミステリー小説は「理系ミステリー」と呼ばれているとか。
1ページあたりの文字数が多く、状況説明やトリックの解説が大半を占めます。難しい漢字や言いまわしもよく出てきますね。
わたしはミステリーが好きなので、「笑わない数学者」では登場人物といっしょに謎解きしながら読み進めています。これがとっても楽しい!
一方、近藤史恵さんもおもしろいのですが、正直ハマるほどではないかな……という感じです。
ただ、この「ハマるほどではない」というのも読んでみないとわかりません。そして、読むことにより、友達のことをまた少し知ることができました。これも大きな収穫です。
余談ですが、森博嗣さんが好きなわたしの推し。彼は理系で頭が良く、そして読書家なんです。なので森博嗣さんのような、難解な謎を解くミステリー小説は彼っぽさ全開で「こんなの絶対好きじゃ~ん!!」と思わずニヤニヤしながら読んでいます。じつに気持ち悪いですね。
「名は体を表す」と言いますが「本は体をあらわす」とも言えるんじゃないかなと、わたしは思います。
自分の知識も増えるし、相手の好みも知ることができる。こんなにいいこと尽くめなのって、なかなかないんじゃないかな。
そう考えながら、わたしは今日も本を読みます。