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2024年に読んだ小説ベスト5

月に2冊、計24冊を目標にしていたが、気づけば26冊の小説を読破していた。友人からオススメされたものや、発売を心待ちにしていた本など様々あるが、その中でのベスト5を紹介する。
また、簡単に来年の読書目標も書きつづる。

▫️読破した小説一覧

一部例外はあるが、Kindleアプリを基に、読み終えた順に記載する。


  1. キネマの神様/原田マハ

  2. 十角館の殺人/綾辻行人

  3. 今夜はパラシュート博物館へ/森博嗣

  4. ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

  5. 虚空の逆マトリクス/森博嗣

  6. この夏の星を見る/辻村深月

  7. Nのために/湊かなえ

  8. 汝、星のごとく/凪良ゆう

  9. 四季【全4冊合本版】春/森博嗣

  10. 四季【全4冊合本版】夏/森博嗣

  11. 四季【全4冊合本版】秋/森博嗣

  12. 四季【全4冊合本版】冬/森博嗣

  13. 容疑者Xの献身/東野圭吾

  14. 夜のピクニック/恩田陸

  15. 鍵のない夢を見る/辻村深月

  16. 本日は、お日柄もよく/原田マハ

  17. 黄色い雨/フリオ・リャマサーレス

  18. 星を編む/凪良ゆう

  19. 地雷グリコ/青崎有吾

  20. 52ヘルツのクジラたち/町田そのこ

  21. Gシリーズ9冊合本版 φは壊れたね/森博嗣

  22. Gシリーズ9冊合本版 θは遊んでくれたよ/森博嗣

  23. 生殖記/朝井リョウ

  24. 葉桜の季節に君を想うということ/歌野晶午

  25. 白夜行/東野圭吾

  26. 砂漠/伊坂幸太郎


四季は全4冊から成る合本版であるが、実際は連続して読んでいない。そのため、7〜15あたりは正確な順番ではない。21と22のGシリーズもまた然り。
以前、同じ小説家の本を数冊つづけて読んだとき、ちがう方の本が読みづらく感じたことがあった。小説家ごとにリズムや色があり、それに慣れてしまっていたからだと推測した。それ以降、読む順番は意識して決めている。

余談だが「読破」や「読了」など、本を読み終わった際の単語はあるのに、本を読んでいる最中の単語はないように思われる。読中?それとも読書中?……あまりピンとこない。もしぴったりの言葉を知っている方がいたら、コメントで教えてほしい。

◽️今年の小説ベスト5

それでは、私的ベスト5を紹介する。

第5位:十角館の殺人/綾辻行人

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!

上記Amazonページより

ミステリー小説といえばコレ!とピックアップする人も多いだろう。注意深く読み進めたがまんまと騙されたし、例の一文には衝撃を受けた。
ただ、国内外問わずミステリー小説を読んできていれば、もっとおもしろかっただろうなと思う。有名な推理作家から引用されたニックネームが登場するので、その知識があるとさらに楽しめるはず。(知らなくても十分おもしろい!)

huluオリジナル作品として今年ドラマ化し、全5話が独占配信されている。また、関東ローカルではあるが年末年始に地上波放送もあるので、ドラマで味わうのもいいだろう。

第4位:生殖記/朝井リョウ

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。
体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。
この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

上記Amazonページより

わたしは朝井リョウさんの大ファンで、10月2日の発売日当日に購入した。想定外の目線で語られる物語……。これはまた攻めたなと思った。
以前書いたnoteで朝井リョウさんの「正欲」を紹介したことがあるのだが、こんなことを書いていた。

朝井さんは現代の情勢を本当によく捉えています。正欲が発売されたのは昨年3月で、「今この時」に通ずるストーリーになっています。インスタグラム、YouTuber、ジェンダーレスなど、現代で話題となっているコンテンツやワードが出てきます。私の知らない、遠くに住んでいる人たちの話なのかな?と錯覚してしまうほど、あまりにリアルな設定。現代社会の利便性、それがゆえに発生するありとあらゆる問題など、深く考えさせられることが数多くあります。物事を深堀りすることが好きな人に、朝井さんの小説はぴったりです。

本棚、積読、読んでいる小説の紹介

わたしが朝井リョウさんの作品を好きな理由はここに詰まっている。今回の生殖記もそうだった。日常生活で感じるモヤモヤや漠然とした不安を、言葉で表現してくれる。だから「わかるなあ」や「そう!そうなんだよ!」など、共感する部分がたくさんある。

これはたまたまなのだが、本作品はKindleで読んでおり、文字を一番小さい設定にしている。その結果、真っ白なページの右側に一文だけ綴られた状態で物語が終わった。それが最後の展開を強調させることになり、思わず「マジか……」と呟いてしまった。読み終えた後だと、タイトルの意味もよくわかる。
もし生殖記を読むときは、あまり事前情報を入れず、まっさらな状態で読み進めてほしい。

第3位:容疑者Xの献身/東野圭吾

運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。 (中略)天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘の美里と暮らす隣人の花岡靖子に秘かな想いを寄せていた。 ある日、靖子の前夫・富樫が母娘の居場所を突き止めて訪ねてきた。金を無心し、暴力をふるう富樫を、靖子と美里は殺してしまう。 呆然とする二人を救うために、石神は完全犯罪を企てる。 だが皮肉にも、石神と帝都大学の同期であり、親友である物理学者の湯川学がその謎に挑むことになる。

上記Amazonページより

小説は読んでいなくとも、ドラマを見ていた人は多いかもしれない。
あらすじに書いてあるとおり、この作品は犯人が明かされた状態で物語が進んでいく。伏線があったにも関わらず、わたしは最後までトリックを見破ることが出来なかった。その悔しさよりも、物語の結末のほうが強く印象に残っている。ドラマではどういう表現をしているかわからないけれど、ラストは映像として目に浮かんだ。

湯川が天才と称賛した石神の緻密な計画と、誰にも明かさなかった彼の強い思いをぜひ知ってほしい。

第2位:ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。

上記Amazonページより

2008年(第5回)本屋大賞受賞作。犯人にでっち上げられた青柳の逃走劇にハラハラさせられるが、それがおもしろく、結末が近づくにつれて読むスピードもぐんぐん上昇した。
伊坂幸太郎さんの本には胸打たれる言葉が数多く存在する。本作品では以下の言葉に感銘を受けた。

「人間の最大の武器は何だか知ってるか」(中略)
「習慣と信頼だ」

本編より

上記は物語の序盤に出てくる。まだ謎だらけで、ようやく物語が動き始めた段階だが、この言葉に出会えただけで読んで良かったと思えた。そしてこのセリフは、物語の根幹をも成している。
人間最大の武器は、習慣と信頼。たまにこの言葉を思い出しては、目標に向かってコツコツ努力していこうと気を引き締めている。

第1位:白夜行/東野圭吾

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々と浮かぶが、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い目をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別の道を歩んでいく。二人の周囲に見え隠れする、いくつもの恐るべき犯罪。だが、証拠は何もない。そして19年……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。

上記Amazonページより

ドラマ、そして映画化もされた大人気作品。おもしろいとはずっと聞いていたが、文庫本で800ページを超えており、他の作品より長めだったので手を出せていなかった。今回、意を決して読んでみた。これは今年1番どころか、今まで読んできた中でもトップクラスだ。
わたしはハッピーエンドより、バッドエンドや謎が残る小説を好む傾向がある。白夜行はまさにそれで、読了後、悲しさで胸がいっぱいになり、気がつけば涙が溢れていた。小説を読んで涙が出たのは久しぶりで、一週間ほど余韻が抜けなかった。

あらすじにも出てくる桐原亮司と西本雪穂の19年間を描いているのだが、それぞれの視点から描写される章は一度もない。そのため、ふたりが考えていることや、なぜそのような行動をとるのか、本当のところは何も分からない。だがそれが興味を引くポイントとなっており、ふたりのことをずっと考えながら読み進めることになる。亮司と雪穂はどこで出会ったのか、どうやって連絡を取り合っているのか、なぜ助け合っているのか─────。読み終えたいま、きっとこうだったのだろうなと、自分なりに解釈している。

800ページ超なので読み応えがあり、だが中弛みがなく、最初から最後まで楽しむことができる一冊。やるせない感情を抱くが、それよりも読んでよかったという気持ちが勝ると思うので、ぜひ読んでみてほしい。

▫️来年の読書目標

パッと思いついたのは以下のふたつ。

①「会話」に関する本を読む
②年間25冊読破

①については「人と会話するときの態度、傾聴力、投げかける質問の内容、選ぶ言葉」の知見を得たいからだ。まだ買ってはいないが、何冊か目星をつけているため、購入して学んでいきたい。

②に関しては今まで通り、月2冊のペースを維持しつつ、どこかのタイミングでプラス1冊読めたらいいなと思う。今年は短めの本が少し多かったので、来年はボリュームのある物語をテンポよく読みたい。

以上、2024年の読書記録でした。また来年!

運良く朝井リョウさんのサイン会に参加できました。
宝物です。

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