【ライブレポ】フォーキートーキー ~The dream that the black cat saw was leftovers of still fish~【森良太、宍戸翼】
2022年10月15日、東京・下北沢ニュー風知空知にて森良太さん自主企画である「フォーキートーキー ~The dream that the black cat saw was leftovers of still fish~」が開催された。
森さんは2022年度「フォーキートーキー」という自主企画を毎月開催している。弾き語りソロ、バンドセット、ワンマン、ゲストとのツーマン等の多様な形で行われており、会場は東京・下北沢ニュー風知空知と大阪・北浜雲州堂というどちらもあたたかい趣のあるライブハウスだ。
定刻の18時半を5分ほど過ぎた頃、本日のゲストである宍戸翼さん(The Cheserasera)が登場し、「たくさん来てくれて僕の企画じゃないけれど、森くんと同じくらい嬉しいです。」という会場を和ませるような一言から「ひとりごと」へ。イントロのギターのフレーズが、明るいようで切ない独特な響きで、一気に宍戸さんの奏でる音の世界に引き込まれる。続いて<明日には他人かもしれない>という歌詞が特徴的な「賛美歌」。その歌詞の部分だけ注目すると、寂しい曲に思えてしまうが、むしろ今出会えていることを奇跡であり大切なことだと思わせてくれる力がある。今日はMCで話すことを考えていないと非常にリラックスした様子から、「季節的に歌いたくなった」というフィッシュマンズの「頼りない天使」を披露。以前(6月に大阪・北浜雲州堂で行われた弾き語りワンマンライブの際)作成したというお手製の打ち込み音源に合わせて、のびやかにギターを弾きながら気持ちよさそうに歌う姿が印象的だった。サビの歌い終わりの響きが非常に心地よく、宍戸さん本人も歌唱後に「ディレイのタイミングが完璧。前に風知空知でやった時も言っていないのにやってくれたのを思い出した。」とPAさんへの感謝を伝えた。続くMCでは、「森くんは話していて同じバイブスを感じる。最近ハイキューというアニメを観終わって、田中くんというキャラクターが「できるまでやればできる」という名言を残していて、森くんがあらゆるものを自分で作り始めている話を聞いてまさにそうだと思った。自分も音源制作などできることが少しずつ増えている。これからも変人同士で情報交換しながらクリエイティブを高めていきたい。」と、森さんと宍戸さんとの共通点や、自分でつくることにこだわっている森さんをリスペクトしている感情が垣間見えるエピソードを語った。どんな状況でも続く日々の中で、お守りのような曲となる「幻」で会場を優しい歌声で包んだ後は、自身のソロ曲である「LONELY TOWN」「all my love」を2曲続けて披露した。森さんは小学校3年生のころから泣いたことがないらしいという衝撃的な話から、「<あれから何が起きても ここにはもう張り合いがないんだ>という歌詞の入った「月は面影」という曲を小3の森くんへ捧げます」と、「月は面影」へ。普段よりも丁寧に一言一言を語りかけるような歌い方に感じられた。そして最後は「Lullaby」。この日はゆったりとしたテンポの曲が多かったが、最後に勢いのある曲でギターを鮮やかにかき鳴らし、力の込められた歌声で宍戸さんのステージが締めくくられた。
続いて、森さんがギターを鳴らしながら「リハで後ろから(宍戸さんを)見ていて、この人は歌うために生まれたんやろな~どんなふうに声出してるんだろうと思った。」と宍戸さんへの称賛を会場に語りかけ、「青空」からスタート。この日はよく晴れていて、日常の中の小さな幸せを歌ったこの曲を噛みしめるのにぴったりだった。続けて、「ポラリス」の軽快なメロディーに乗せて、<世の中のスピードに合わせなくても 君が君でいることに変わりはない>と自分を見失いそうなときに支えになってくれるような言葉が紡がれていく。ぽつりぽつりと弾かれるイントロが印象的な「林檎と兎」を歌い終えたあとのMCでは、「宍戸くんと一緒にカレーを食べに行って、真剣に最近どうかという会話をして、結局良い曲を書くしかないということを確認する時間だった。」と語り、自分たちと同じような活動休止中のアーティストの名前を出しながらも、「それぞれ試行錯誤がなされている今を観るのが楽しみですよ。」と会場の笑いを誘った。そこから勢いよく「Still Fish」「Escape!」を歌い上げた後は、新曲の「うさぎ1号」を初披露。この曲は近日発売予定の『apples4』に収録される予定ということや、楽曲づくりへの並々ならぬ情熱が溢れ出るような話から、「うさぎ1号」の曲紹介へ。「小さいときにいつも一緒にいるぬいぐるみ(キャスパー)がいたけれど、いつの間にかどこかへ行ってしまった。人は生きているといろんなことがあって、色々忘れてしまう。でもどこかで待っているような気がする。」イントロからAメロにかけての「Still Fish」に似たような緊張感のあるギターがより切ない気持ちになる。「ただのラブソングです」という前振りから「あの空のように」、弾き語りでもバンドのような迫力が感じられる「で?」の演奏と歌唱で、会場が一気に盛り上がる。最後のMCでは「最近吹っ切れてしまった。自分はずっと何をしていたんだろうと年に3回思う。小3から泣いたことがないのは本当で、これは泣いているという感覚はあるけれど涙が出ない。△(さんかく)くらい。最近吹っ切れたのは怒っているから。気持ち悪いと思うことが多い。」と思いの丈を打ち明けた。そこからMCに合わないということで急遽セットリストを予定のものから変更し、「ロックンロールポップギャング」を披露。そんな部分からも、自分の感情と周囲とのつながりを大切にする森さんの人柄が伝わってくる。<気に入らないことばっかりだ>と怒りをぶつけながら歌う姿にこちらもスッキリする爽快感をもらうように締めくくられた。
会場のアンコールの拍手に応え、森さんがステージにすぐに戻ってくる。ビールを持ってきた宍戸さんに「一緒に歌おう」と声をかけ、さらに「じゃあ作りましょう」と怒った後の気持ちをテーマにオリジナルソングが始まった。コード進行を簡単に確認し、EmとかAmとか意外にエモーショナルな感じでできた、怒りの後の癒しの時間のようなメロディーに合わせて即興で歌詞がつけられていった。自然体で自由なスタイルから生まれる歌詞に、しばしば笑いが起こるのが楽しい。途中から2人が歌い終わるまで、会場の手拍子は鳴りやまずに続き、最高潮の盛り上がりの中、お開きとなった。
ゆったりとしたムードの中にも、どこか切ない部分や若干のビターなテイストが味わえる、ここにしかない音楽をじっくり楽しめた夜に感謝したい。
<森良太さん(弾き語り) フォーキートーキー ~The dream that the black cat saw was leftovers of still fish~>10月15日(土)@東京・下北沢ニュー風知空知 セットリスト
01. 青空
02. ポラリス
03. 林檎と兎
04. Still Fish
05. Escape!
06. うさぎ1号
07. あの空のように
08. で?
09. ロックンロールポップギャング
10. 白い部屋
En. ?(即興で宍戸さんと歌を披露 怒りの後のお歌)
<宍戸翼さん(The Cheserasera) フォーキートーキー ~The dream that the black cat saw was leftovers of still fish~>10月15日(土)@東京・下北沢ニュー風知空知 セットリスト
01. ひとりごと
02. 賛美歌
03. 頼りない天使 (フィッシュマンズ cover)
04. 幻
05. LONELY TOWN
06. all my love
07. 月は面影
08. Lullaby
YouTubeご紹介 ~こちらで聴けます~
アーティストリンク 〜飛べます〜
※セットリストもレポート内容も間違った情報が含まれている懸念があります。ご容赦願います。(訂正コメント大歓迎します。)
※初心者によるレポートです。どうかお手柔らかにご覧くださいませ。
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