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山際響:短編集

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山際響の短編まとめです。
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#人生

水たまり

水たまり

 まず光があり、次に雷の音が響き、そして、我々の住むこの山間の町は、重苦しい雨雲に覆われ、しつこいほどの雨が、降り続けている。強い雨というわけではないが、ずっと止まないので、降雨量は膨大なものになっている。この町の何処かに貯めこまれた水は、我々の全て流してしまうほどの力だろう。私は、最近再就職した工場の近くで、実家に残っている姉と会った。一帯は、鉄条網に囲まれた空き地と、いくつかの工場しか見えない

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四月の雪

四月の雪

 おそらく、生身の人間に会うのは大学を卒業してから初めてだった。
 しかし、あまり人間に会ったという気がしなかった。
 彼女はもちろん幽霊ではなく、実体がある。薄い皮膚を通して、青い血管が見えるし、彼女には血も涙もあるに違いないが、残念ながら、私には信じられなかった。
 こんな失礼な考えを私は不意に思いつく。いつもの事だ。そして、それを悟られてしまうのではないかと緊張するのだが、彼女に関しては、そ

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