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珈琲焙煎所が食品ロスを減らすためにできること

初めてnoteに投稿した記事では、

ヤマドリ珈琲では、ハンドピックで出た欠点豆をほとんど廃棄することなく有効活用しています

と書きましたが、具体的な事例をお話しします。

ここでの食品ロスの定義

コーヒーの食品ロスに関してネットで検索すると、「コーヒーの出涸らし」を使ってTシャツやバッグ等を染織する事例が多くみられますが、ヤマドリ珈琲では珈琲焙煎の困りもの=「欠点豆」を焦点にお話しします。欠点豆の他に、テスト焙煎や焙煎で失敗した豆なんかも少々入っています。しかしいくら欠点とはいえ、小石や破片等の異物は対象外とします。

ヤマドリ珈琲ではハンドピック(=珈琲豆の欠点除去)を焙煎前・焙煎後の2回に分けて行います。その欠点豆は以下の様に活用します。

1)焙煎機の練習

焙煎機に慣れていない時期は操作に手間取ってしまい、思い通りの焙煎ができないことが多いので焙煎前に出た欠点豆を使います。慣れた焙煎機でも焙煎量を一気に増やす際に練習として使いました。

練習で焙煎した豆は捨てずにさらに活用します。

2)珈琲豆の染織

それって上記のコーヒー出涸らしの事例と一緒じゃん!と思われますが、他所と違うのは、欠点豆を使っている事と「工房間の共同作業」です。

焙煎所がある月出工舎は廃校になった小学校を活用しており、焙煎工房もあれば染織工房もあります。工房なので媒染も鉄やチタン等、好きに試せます。1階の焙煎工房で出た欠点豆を3階の染織工房に持ち込み、染織工房の主である岡博美先生の指導の下、染織にチャンレンジ!

※ 記事スペースの都合上、作業手順はざっくばらんに書きました。

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染めたい物の総重量により媒染液や豆の分量を割り出します。

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みるっこで細挽きにした豆を袋詰めにし、巨大鍋で煮込んでコーヒー染液を作ります。その後は染めたい物をコーヒー染液に入れて煮込む→水洗い→媒染液で煮込む→水洗い→再びコーヒー染液で煮込む→水洗いの繰り返し。

煮込み作業では15~20分間ずっと鍋をかき回します。「美味しくなれよ…ありがとう、ありがとう」と藤岡弘さながらに念じながら鍋をかき回します。

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水洗いでは液を落とすために何度も水を入れ替えます。冬場なので冷たい!

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最後の水洗いが終わったらじっくり乾燥させます。左はチタン媒染、右は鉄媒染によるものです。

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さぁ今度はシルクスクリーン作業。版はあるのでバッグに合う色のインクを作り、いざプリント。ここでも岡先生の登場です。先生お願いします!

先生のレクチャーをもとに我々もプリントしてみました。初めての作業なので力加減がわからず、若干かすれたりにじんだりしましたが、それはご愛敬。次は上手くやるので勘弁してください。

さて、今回はA4チラシが入るトートバッグを作りましたよ!

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媒染は鉄とチタン、シルクスクリーンの柄は3種類で組み合わせは6パターンです。ちなみに、このバッグを今年3月20日から始まる「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020」で販売しますよ。(宣伝)
【2020/02/28:追記】芸術祭の開催は延期となりました。

2-1)染織の課題

豆は生産国・種別・煎り方をごちゃ混ぜにした状態(中~中深煎りが多めかも)でやっているので、パターンごとに分けて染織するともしかしたら異なる結果が出るかもしれません。

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また、並行して生豆での染織も試してみました。最初はどの媒染も淡い色で良い感じだったのですが、数日たつとどれも一律に薄い黄色に変色してしまいました。これに関してはさらなる研究が必要です。

3)出涸らしはどうするの?

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出涸らしは乾燥させ、お茶のパックに詰めて下駄箱の消臭剤として活用しています。だたし、乾燥が不十分だったりダマを作ってしまうと、そこからカビが生えてしまうので注意。(経験談)
また、珈琲の匂いがキツイ時があるので、珈琲が苦手な家族がいるお宅ではお勧めできません。

最後に

新たな発見がありましたらまたご報告いたします。
現場からは以上です。

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