僕が思う古着業界の現状
先日、Instagramのストーリーズにて、「僕に話してほしいことは何ですか?」というテーマで質問を募集しました。
・古着業界の現状、未来
・古着の仕入れについて
・古着で食べていくには?
・古着屋店員に必要なスキル
興味深い回答が多くて、まさに僕が日頃考えているようなテーマだったので、この場で簡単にお答えしようと思います。
僕が思う古着業界の現状
サステナビリティの観点などから、古着というものが世界的にも注目され、認知が拡大したのがコロナ前辺りから。
当然シェアが広がると、店も増えるので、今では日本国内の古着屋の数は非常に多いです。(オンラインショップも含む)
こうして古着はまだまだ注目はされているものの、業界自体はそれなりに厳しいというのが僕が感じている現状です。
古着屋というのは日銭商売なので、その日ある程度売り上げが立てば生活はしていけるし、意外と数年はなんとかやっていける商売という風に聞きます。
ただ、あまりにも古着屋の数が多くて、取り扱う商品のほとんどは目にしたことがある物ばかりで、価格も店によってバラつきがある。
こうなると、結果的には力のある店が残るのは必然。
そして、これは古着だけではなくファッションというジャンルに言えることになるかと思いますが、明らかに消費者一人当たりの服に使う予算が減っています。
その中で、古着⇆新品という大きな枠から、多様なジャンルの服に予算が分散されるので、全体的に販売点数は減っているのではないかなと思っています。
もちろん、それは全体的な印象であって、しっかり顧客を獲得して売上を伸ばしている店舗もありますし、そういった話も聞きます。
・オーナーやスタッフに影響力がある
・店に個性がある
・ブランディングやマーケティング力がある
・仕入れ力がある
確実な強みがあるからこそ支持されているのは間違いないし、服が良ければ売れる時代ではなく、人やスキルで売れる時代ということだと思います。
これからは、何らかの強みのない店はやっていけないと思いますし、新しい価値を古着を通して作っていける店が力を持っていくと思います。
古着の仕入れについて
1バイヤーとして海外仕入れを何度も経験させてもらっている身で言うと、古着の買い付けは簡単ではないということをまず言っておきたいです。
このポイントが、古着業界の難しいところだと感じます。
古着の仕入れ方法はいくつもあって、
・ディーラーと直接取引
・車を走らせてスリフト、古着屋巡り
・倉庫に入ってピック
・卸業社倉庫でピック
この辺りがメインになると思います。
世界で古着が注目され始めたので、ここ数年は海外の現地バイヤーの数が急増して、僕たち日本人にとっては物理的距離、言語の壁もあることから、非常に仕入れが難しくなっています。
また、円安の影響は凄まじく大きく、やはり厳しいと聞きます...
これは、あらゆる仕入れ方法でも共通。
日本と海外の古着シーンでは、もちろんニーズは異なるのですが、日本人バイヤーの数も多いことから、日本で人気のあるアイテムは現地でも値段が上がることがほとんど。
名のあるヴィンテージアイテムについては、転売出来ない値段を提示されるので、日本でも高値にするしかないパターンがほとんどじゃないでしょうか。
アメリカで仕入れをする場合は、限られた時間の中でスリフトやフリマなどを周り、安価で良い服を沢山買うという方法を狙う方が多い印象です。
日本国内の卸については僕は詳しくないのですが、当然販売力のある店が優遇されるので、いずれにせよ店としての力が必要。
同様に質問を貰っていた古着の相場、価格変動の流れについてですが、これは全く予測出来ません。
SNS時代で、影響力のある方が着たらニーズが急増するという現象が起き続けてるので、こういった流れが続くと思います。
だからこそ、自らが影響力を持つと言うことが、今後非常に重要ですよね。
僕の体感ですが、皆さんも感じているように、一部のヴィンテージ服は高すぎるので、値段は下がっていくと思います。
(実際下がっている物は多いです)
なんでこんなに評価されてないんだろう?と言われているようなアイテムは確実に値段が上がると思うので、そういったアイテムを買うヴィンテージ好きの大人の方が非常に増えている印象。
古着で食べていくには
ここまで、包み隠さずお話しした通り、古着で食べていくのは相当難しいです。店を経営してなくても分かります。
僕は古着屋を経営したいという夢を抱いたことがありません。
それは、上に触れた通り、仕入れも含め不安定要素が大きいから。
仕入れ面以外では、キャリア的にもやれる自信はありますが、他の形で生かしていくことを考えています。
食べていくには?と言われたときに思い浮かぶのは、
・古着関係者との人脈作り
・古着屋勤務での下積み
・SNS発信
・お金でスキルを買う
これらは必要不可欠だと思います。
覚悟を持ってがむしゃらにならないと、古着で生活は不可能だと僕は思っています。
ちなみに僕はスラットに8年間在籍していて、がむしゃらに仕事に励んだ結果、普通に生活する分には苦労しない程度の収入があります。
その上で、他の収入源を模索している途中。
古着屋を経営する道以外にも、選択肢はあるということは知っておいていただきたいです。
古着屋店員に必要なスキル
どこを目指してるのか、どんな仕事をするのかによりますが、至極当たり前なところで言うと、知識 は必要です。
年代とか時代背景とかそんなことはさておき、何故その古着が魅力的なのか、買うべきなのかを説明出来ないと話になりません。
勉強しようと思っても出来るものでは無く、特に古着は専門性の高い分野なので、そんな簡単に知識は身につきません。
好きはことには時間を忘れて熱中出来るように、古着を好きじゃないと知識はまず身に付かないです。
僕の持論は、とんでもなく古着を愛しているというのが、1番必要なスキルです。
まとめ
偉そうにここまで言ってきましたが、あくまで僕の主観での考えであり、立場などによって見方は全く違うのでご了承ください。
(経営者の方の言葉は格段に重みが違うはず)
古着という文化は続くだろうし、業界自体が急速に衰退していくということはあまり考えられないですが、何らかのターニングポイントは迎えている印象を受けます。
古着やファッションを愛している方は、それを自分だけで楽しむのではなく、人に伝えるということも楽しんでいけると良いなと思います。
特に、仕事にしている人、仕事にしようとしている人は、それが使命であり、発信者にならなければいけないなと、これを書いていて尚感じました。
古着はディープな面白さもあるので、表面的ではなく、こだわりを持って古着を楽しめる方が増えるように発信を続けて行きたいと思います。
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