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犬、飼おう〜episode Ⅴ

〜愛犬コロンを16歳8ヶ月で看取るまでの記録〜 

2度目の半身不随でも、その暮らしに慣れることはなく、動きたいコロンの気持ちと相反した身体の不自由さに、コロンと私、両者ともイライラ、ストレスが溜まっていった。

柱やテーブルの脚にぶつかったり、カーペットの僅かな段差にさえ引っかかると台車から落ちるし、裸で居たいのにオムツが邪魔だし、寝たいのに眠れないし、下半身に力が入らないから出るモノもなかなか出ないし…とでも言いたかったのだろうか、鳴いて呼ばれることが増えた。

オムツ交換、移動の介助、ご飯の介助、寝かしつけ…しゃがんでお世話することが前よりも増えて私の膝には限界が来ていた。
「泣きたいのはママの方だよ」と何度言おうともコロンは遠慮せず鳴く。
当たり前だけど。

あんなにも可愛がってきたコロンに、可愛いね、好きよ、愛してるよ以外の感情を抱いてしまうようになった。
ようやく眠った束の間の穏やかな姿を見ながら自己嫌悪で涙が溢れる。

このままではきっと最期に悔いが残ってしまう。

家族で話し合った。

終わりの見えない介護に家族みんなずっと寄り添って行けるのか、医療的方法で苦しまずに人為的に逝く日を決めてあげるのか…

私「みんながお世話しやすいように、オムツもオムツカバーも作ったし、エリザベスも作り直したり、咬まれても痛くないように革手袋も買ってきた。ご飯も一口も食べなくて捨てることになっても毎回考えて違うモノ作ってるし、歩けなくても動けるように台車も作った。これ以上私は何をしてあげればいいのかわかんない。
安楽死にしてあげた方がコロンは楽なのかも知れないとも思い始めている」
娘「諦めたくない!どうしてあげるのが正解がわかんないけどまだ諦めたくないから、なんでもする!諦めたくない!」
夫は「僕はみんなが大変じゃない方を選ぶしかないのかなと思う。申し訳ないけど普段お世話してくれているのはママとミーだから」
「僕は自分が出来ることを手伝います」と自閉症の長男なりに自分の想いを言葉にした。

長女の想いがコロンにとって一番幸せで正解だとわかってはいた。
でも、私にはしゃがんで膝にくる負担からの痛みと精神的にも限界が近づいてきていることを伝えた。
もっと力を貸して欲しいという想いを吐き出せたことで、最後までお世話をする決心が出来たと思う。

かかりつけの先生は、家族が疲れてしまうと介護出来なくなるので、興奮して眠らない時は鎮静剤を入れてあげると飼い主さんもコロンちゃんも楽になりますからと薬を出してくれて、抵抗して飲ませられなければ連れて来てくださいと、家族を安心させてくれた。

元気だった頃の面白くて可愛いコロンを毎日1日何回でも思い出せるよう、トイレをギャラリーにした。


飼い主の勝手な想いではあるけれど、また歩けるように、お散歩が出来るようにしたいと、車椅子とライフジャケットを調達した。

プールや海は苦手、犬かきも苦手なコロンは、助けて欲しい一心で後ろ足を動かすだろうという狙い通り、ライフジャケットを着せてお風呂に浮かべると、つねつねしても気付かれなかった麻痺した後ろ足を、僅かながらパタパタ動かした。

鳴きやまない時はお外に行き、車椅子に乗せて歩くと(正しくは飼い主が引っ張っているだけ)、足は動かさずとも鳴くことを忘れ、少なからず気分転換にはなっていたように思う。

Instagramを見てくださった方からの「シッポの先端に下半身を動かすツボがございます。クリクリしてあげてみてください。少しずつですが続けていればシッポが動くようになります。」というありがたいメッセージをいただき、長男の出来そうなこととして毎日の日課にすると、真面目に毎日クリクリしてあげていた。

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