犬、飼おう〜episode III
〜愛犬コロンを16歳8ヶ月で看取るまでの記録〜
腰椎椎間板ヘルニアかも?と疑いをもったその日の夜、慌ててペット保険に加入した。
加入して1ヶ月後から有効になるのだが、これがきっかけで、痛みを訴えられない犬がいつどんな病気にかかるか分からないことを痛感し、一刻も早く入っておこうと思ったから。
以降8年毎年更新し、幸にしてその間1回も保険を使うほどの病気はしなかったのだが、16歳になる前に来た更新のお知らせを見ると、保険の掛け金は5万円近くに跳ね上がっていた。
高っ!ただ率直な感想。
毎日ご飯をモリモリ食べて元気だし、可愛いし、面白いし、時に憎たらしいコロンも気付けば高齢犬の域に入っていた。
毎日一緒にいると意外と気付かないのだが、よくよく見てみれば白い毛が混じってきたし、黒眼の真ん中が少し白っぽくなってきたし、歩くのが遅くなってきたり、暇さえあれば寝てしまう(犬は基本的に暇なのだが)のは歳を重ねて生きてきた証。
白内障の目薬を出してもらいに行った時に、高齢になって考えられる病気の相談してみたところ、今後なにか大きな病気をしたとしても、コロンの年齢を考えると麻酔をして手術をするというのは病気をそのままにするのと同じくらいのリスクがあるので、もちろん飼い主さんの希望に沿うのだけれど、自分なら手術する方法は選ばない気がすると先生は仰った。
たくさんのワンちゃんたち、飼い主さんと向き合ってきたからこその第三者の意見は現実的でむしろありがたい。
夫と相談し、今後コロンに重篤な病気が起きたらそれを天命として、痛くないようにだけ治療はしてもらい、寂しくないように、おうちで看取れるようにしようと、この保険は解約した。
とは言っても、SNSを見れば高齢のワンちゃんでも手術をして頑張って闘病しているコも居て、やっぱり病気を放置して見ていることが私に出来るだろうかと、まだ全然病気でもなく目の前にいるただの元気なおじいちゃん犬コロンを見ながら心配だけが募り、結局、8歳以上が対象のシニア保険に入った。心配だから入るのが保険なのだが、掛け金も心配で入れなかったりするのも保険。
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なにごともないように16歳を迎えたコロンは、たびたびトイレを失敗するようになっていた。はみ出すとかではなく、それは大きかろうが小さかろうが、廊下、リビング、長女の部屋…催したその場であったり、トイレにダッシュ💨して間に合うこともあったり…。
リビングは、新聞紙→トイレシーツ→パンチカーペットと三層構造にした。
コロンが大好きな床暖房は全然温かさを感じられなくなったが自業自得なので仕方ない(笑)
病院へ行くのは目薬を出してもらう時と、爪を切ってもらう時くらいにした。
病気を探さないことにしたからだ。
ミニチュアダックスフンドの16歳は人間で換算すれば80歳。
私の父が80歳で亡くなったのだが、晩年の10年は大小いくつかの病気で入院や通院を繰り返しており、決して元気ではなかったことを思い出す。
危篤の連絡を受けて駆けつけ、意識が戻ったのでいったん帰ることになり、また近いうち来るねと言うと「家族、兄弟、みんな、仲良く暮らすんだよ。みーちゃんとりょうくんを産んでくれてありがとう。さようなら」と言われ、もう多分これが最後だと、管が繋がっている父の頬に子どもの時以来のキスをした。
最期の時は自ら延命処置を拒んだと後から聞いた。
大切なひとをなくすことは寂しいし悲しいけれど、苦しむ姿を見ているのも同じくらいに辛い。
離れて暮らしていた時よりも、居なくなってからの方が父を想う日は増えた。
そんな思い出があり、トイレの失敗はオムツカバーをバージョンアップさせて解決、痒い痒いをしてる時はオイラックス、うんちの調子が良くない時はビオフェルミンで解決させた。
案外それで解決するから多分病気ではないと思っていたし、認知症の症状はいくつか出てきていたが、そんなのは気にならないくらい老犬コロンは可愛かった。