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書体を比べる楽しみ
僕は駅の案内板やニュースの字幕などに目が行くことがしばしばあって、いろんな書体の違いを楽しんでいたりする。
特にこういう書体は頻繁に見かけるようになった。「ユニバーサルデザイン」で見やすい書体だそう。JR西日本では「路線記号」が導入された2010年代後半頃からこの書体が使われ始めて、駅名標、各種看板、「路線記号」入りに取り替えられた「行き先表示幕」の英語部分などに用いられている。
テレビのニュース番組でもキー局中心に民放が「UD」系のフォントを用いてるのをよく見かけるが、NHKでも、「東京2020パラリンピック」関連ニュースや「ニュース地球まるわかり」を皮切りに、2022年度からは全国ニュースと関東甲信越ローカルの報道系番組でも日常的に使用されるようになった。
見やすくするための書体はどんどん進化している。一方で書体で古き良きを感じられることもある。
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筆の手書き風でヒゲのような小さなハネが特徴的なこの書体。市営地下鉄だった昭和の頃では当たり前のように使われていたが、時代の流れや市営から大阪メトロに民営化されるなどでモダンな看板に掛け替えられ絶滅危惧種となった。しかし、野田阪神駅2番線は降りる専用で使用頻度が極端に低いからか改修がなされず、そのまま残っている。おまけに千日前線では唯一ホームドアがなく、エレベーターなどのバリアフリー設備すらない。この辺りだけタイムスリップしたかのようで、「昭和の市営地下鉄」を今に残す数少ないレガシーだ。
こんな風に昔ながらの独特の書体というのはたくさんあった。その他にも相撲や歌舞伎の番付では伝統的で唯一無二の書体が受け継がれている。「ユニバーサルデザイン」が当たり前になってきて、書体もそんな流れだ。それでも、パソコンやワープロが無い頃から伝統として使ってきた書体は手書きならではの風合いと味を持っていて、何か惹かれるものもある。なかなかディープな話だが、こういう見比べる楽しさがあると個人的には思う。
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