梅雨入りに高野山へ
6月を前にしてすでに梅雨入りした近畿地方。そんな梅雨入り当日に少し思い立って列車に乗って行ったことないところへ。
向かったのは「南海なんば駅」。関空、和歌山方面は何回か乗ってはいるが、今回は「高野線」で高野山駅を目指す。
東京かぶれな急行電車で。
まずは急行橋本行きに乗り込む。途中止まりではあるが、「高野山連絡」と書いてある列車はもれなく終点で数分での接続がある。
車両は「8300系」という最新鋭車両。「高野線」では旧型車の淘汰したことで増えてきて、過去に乗ったときも高野線に目をやるとよくこの車両がいる。
車内はピカピカで、扉の形はどことなく「東京かぶれ」なモダンさ。でもメーカーは「近畿車輛」という「メイドイン大阪」。
西成の高架を過ぎて、帝塚山や堺の住宅街へ。
中百舌鳥(なかもず)駅を通過。泉北ニュータウンへ向かう「泉北高速鉄道」の分岐駅で大阪メトロ御堂筋線の終点でもある栄えたところだが、急行や区間急行ですら通過されてしまうという残念さ。
田園が多くなってきた。そして、東京タワーによく似た「白い巨塔」が顔をのぞかせる。これは「PLの塔」。宗教団体「PL教団」の本拠地がある。この下には高校野球の名門「PL学園」があったり、塔のある富田林市では毎年教団主催の花火大会「PL花火芸術」が催される。
河内長野駅。近鉄長野線との乗り換え駅で河内長野市の中心で折り返しが多いことなどから駅前もかなり賑わう。
河内長野を過ぎると一気に山の中へ。急坂が連続するために対応できる車両のみが入れる。
天見駅や紀見峠駅といった府県境の「秘境駅」もあるが、「美加の台」という南海系のニュータウンも時々姿を見せる。
そんな山中でも「林間田園都市駅」はかなりの栄え具合。特急も止まり、折り返しも多数ある。
今日は雨なので「ツユ」メインで。
山を越えて、約50分で橋本駅に到着。和歌山市内や奈良方面へ横断するJR和歌山線と乗り換え可能。
真っ赤な電車でクライマックスへ。
ここから高野山方面への各駅停車に乗り換える。
止まっていたのは「2300系」。青とオレンジがトレードマークの南海では異色の赤いボディ。側面には編成ごとに花のイラストがあしらわれていて、乗った編成は「しゃくなげ」だった。
山間部のローカル輸送や高野山への観光輸送が主体でクロスシートが多く、前面展望はかぶり付きもできる。
橋本から先は高野線のクライマックスと言える区間。さっきよりも急カーブや急坂が連続する区間で
車体が短い
全車モーター付き
平地で高速走行可能
というマルチでハイスペックさが要求される。こういう車両は「ズームカー」と呼ばれ南海の代名詞の1つとなっている。
雨が降っている今日。ブレーキの効きが悪くなりやすく、さっき乗った新快速も強めのブレーキでギリピタリ。
しかし「ズームカー」では基本的にそんなことはなく、かなり安定して登っている感はある。雪も降りやすいからこれぐらいは余裕だろう。
高野下駅を過ぎると更なるクライマックス。ここからさらに坂はキツくなり、
50‰(1000mで50mも標高が上がる)
という急坂も出てくる。
この路線を含めた登山系の鉄道では「パーミル会」を結成して、ならではのコラボ企画を多数展開している。
下古沢駅では13分停車。この長時間停車を見計らって少し降りてみた。山がそびえ立ってる真横で木造の小さな駅舎だが、都会的な自動改札があるし、こういう駅では珍しく駅員が常駐し、列車の監視をしている。
撮っていると橋本方面の列車が通過。
後ろには観光列車「天空」を連結。昭和世代の「ズームカー」を改造し、沿線の大パノラマを楽しめるように展望デッキや窓向きの展望座席を設けた。主に橋本〜極楽橋間を走っていて、事前の電話予約が必要となる。
ただし、予約不要の自由席2両もバディを組む。でも、ここは「天空」で大パノラマ満喫したいでしょ。
その後も山を登り、列車と行き違いしながら1時間以上。
極楽橋駅に着いた。ここから高野山へはほぼ必ずケーブルカーが接続。
通路を抜けて数分でケーブルカーへ。
車両は2019年にデビューした「4代目」でスイスの「CWA社」が手掛けている。そのせいか、異国チックなビジュアルで大きな窓が印象的。海外の鉄道紀行のテレビの中に飛び込んだよう。
その反面、車内は高野山をモチーフにした和テイストで間接照明で落ち着いた雰囲気になっている。
約5分ちょっとで高野山駅へ到着。ここからバスに乗り継ぐことで「奥の院」「金剛峯寺」などへ行けるが、今回は鉄道メインなのでここで折り返す。
最後になるが、ここにいった数日後の大雨で甚大な被害が各地に出ている。高野線も何ヶ所かで土砂崩壊や倒木などが発生し、投稿時点で高野下〜極楽橋間で運転再開の見込みが立っていない。
過去にも台風や水害で長期運休を強いられているぐらい過酷な高野線ではあるが、早期の復旧を願って止まない。