18きっぷでミナミへ
「播州」を楽しんだのち、新快速に乗り込んで元来た道を戻り、大阪駅へ。そこから環状線内回りで新今宮へ向かう。
そこから逆向きのホームへ行って、大和路線のJR難波行きに乗り換える。今宮まで環状線と少し並走すると北へ逸れて、地下へ潜る。
大和路線、本名「関西本線」の起点「JR難波駅」4つののりばを有する駅だが、普段は半分しか使わず、昼間にやってくるのは王寺行きの普通電車のみ。
かつては「湊町駅」を名乗って、奈良や名古屋へ優等列車が走り、「JR難波」に改めた平成初期から中期には「関空快速」が乗り入れていた。しかし、優等列車は設定がなくなり、「関空快速」も大阪駅や京橋駅を通り、和歌山からの「紀州路快速」とバディを組む形に統一され、「難波」に来ることはなくなった。今は平野区、八尾、柏原方面や近鉄の直通がない王寺町方面の地域輸送がメインというこじんまりした駅になった。
それでも、「なにわ筋線」が開通した暁には大阪駅と結ばれ、環状線を走る特急「はるか」「くろしお」などが通り、「関空快速」も再びここに乗り入れることが想定されている。まだまだ捨てたもんじゃない。
OCATをぶらり
改札を出て駅のすぐ真上にある「OCAT」こと「大阪シティエアターミナル」へ。
関西空港が開港と同時にオープンした「関空のサテライト拠点」。荷物検査や搭乗手続きなどを空港に行かずとも大阪市内で完結できた。また、「難波」発の「関空快速」の先頭には荷物置き場が設置され、ここで手続きしたトランクなどの荷物を運んでいた。しかし、利用の低迷でこういう機能は失われた。
ただ、「OCAT」建物自体は存続し、高速バスや関空、伊丹の二大空港へのリムジンバスのターミナルを始め、レストラン街、行政機関、その他の店などが入居する複合施設として機能している。
歩いてみるとけっこうシャッターが目立つ。場所柄的には「なんば」の外れに位置しているということも関係しているのだろうか。
それでも、バスターミナルは「ミナミ」随一の拠点ということでたくさんのスタッフが常駐。土産屋などもあって、たくさんの人で賑わう。「OCAT」はこれで支えられてきたと言っても過言ではない。
レストランはインディアンな店や「アサヒスーパードライ」に特化した「ビヤレストラン」大阪粉もん界をリードする「鶴橋風月」などいろんな店が軒を連ねていて、いろいろ楽しめそう。真横にはライブハウス「なんばHatch」を擁する「湊町リバープレイス」があるからライブ前の腹ごしらえには良さげだ。
なんばパークスと思うことの多い電気屋
まだ15時なので、少しばかり足を延ばしてみる。近鉄と阪神の大阪難波駅や道頓堀などが近いが、今回は南海電車のある南へ下る。
かつては興奮の渦と熱い戦いが繰り広げられていた「大阪球場」跡地にあるショッピングモール。緑が美しいし、建物もちょっと幻想的。
そこを抜けてやってきたのは「ヤマダ電機LABI1なんば」。郊外にある「テックランド」のイメージが強い電気屋の都市型形態でかなりデカい。「エディオンなんば本店」「ビックカメラなんば店」などに比べれば南外れの位置でJRはおろか、御堂筋線や近鉄、阪神からは非常に遠い位置にある。それでも、滋賀長浜の店舗で何かと世話になっていたし、最近ご無沙汰だったからちょっと見てみたくなった。
品揃えとあれが変わった
品揃えに関しては「ヨドバシ」や「ビックカメラ」同様に豊富。なんでも揃ってるという感じだ。
ただ、「ヤマ〜ダ電機♪」という軽快でポップな店内ソングはどうやら消えたようで『あなたが笑うと』という新曲に変わっていた。住宅の「エスバイエル」「レオハウス」や「IDC大塚家具」を取り込んだりなどの多角化してのイメチェンなのだろうか。それが聴こえないのはちと寂しい。
ただ、後から調べると歌っているのがバンド「羊文学」のボーカル塩塚モエカさんというのが分かった。個人的に最近好きでこの日も朝にこの曲を聴いたばかり。まさか好きな声だとは僕もまだまだですな。
変わった大塚家具と思い出
独特なものとしては「ヤマダ」傘下の「IDC大塚家具」のブースがあって、家電と家具を混ぜてコーディネートされているところがある。これを見ると僕は10年前に行った頃よりかは大きく変わってしまった感がある。
家をリノベし、新品のソファを買いに、家族で名古屋栄の「大塚家具」を訪れた。担当の店員さんに案内されながら、至極の家具を吟味したのは「ニトリ」「近新」など他の家具屋では見られない新鮮さが中学生ながら感じられた。しかも担当の方は偶然にも滋賀県民で我が家族と話が弾んだのも良い思い出だった。そんな良さも“例の親子ゲンカ”をきっかけに「二番煎じ」と言われる方角取って変わる形に進んだ。結果的にありきたりに見えてしまうわけだし、真似しても勝てないときは勝てないし、唯一無二のこだわりが時に栄光だったということを気付いたりする。とはいえ、かつての流れを汲む「匠大塚」がその良さを受け継いでいると聞いている点は安心だ。
そんなこんなでぶらりしてきたが、さすがに地下鉄を使わずに「キタ(梅田)」から「ミナミ」へ18きっぷだけで乗るというのは「鉄道バカ」の極みみたいなのを感じる。それでも、こうやって気ままに自由にJRグループの垣根を越えるこのきっぷは凄い力のあるもんだ。次は何処へ…