真夏に、あえて、非冷房
「サンライズ出雲」を降りて、「モーニング」を食べたら、早速、「鉄分補給」。まずはこの真夏だから乗りたい電車へ。
乗り継いで
JR、京成線を乗り継いで1時間ちょっと。
ユーカリが丘駅で下車
千葉県佐倉市「ユーカリが丘駅」に降り立った。名前の通りのニュータウンで駅前には商業施設やマンションが建ち並ぶ。
不動産会社の鉄道
この一角に今回のお目当て「山万ユーカリが丘線」がいる。この街を開発した不動産会社「山万」が手掛ける鉄道。異業種が運営するのは珍しい。
ただ、1980年の開通以来「無事故」。信頼性はかなり高いと見た。
レトロな改札
駅の改札周りはかなりレトロ。
IC非対応の自動改札
数字のランプが光るボタン式の券売機
古そうな字体の運賃表
タイムスリップしたかのよう。特に券売機は2000年代まではよく見かけた。今のようにタッチできる液晶ディスプレイが開発途上だった。
きっぷを買ってホームへ。
ユーカリが丘線の電車
そこにいたのは「ユーカリが丘線」の「こあら3号」。愛称は「ユーカリ」を主食とする「コアラ」にちなんだもので「1号」から「3号」までいる。車両はゴムタイヤで走る「新交通システム」。東京お台場の「ゆりかもめ」大阪の「ニュートラム」とカテゴリは同じ。
運転台
これら2つは自動運転の反面。こちらは全列車運転士が乗務する「ワンマン運転」。ハンドルは右手で加速とブレーキを操作する「ワンハンドルマスコン」。左や両手が一般的だが、これはかなり見かけるのがレア。
車内
車内は少しレトロ。更新工事が行われておらず、1980年デビュー時のまんま。
アレが無い。
そして、この電車の一番の特徴というのが
冷房が付いていない。
それらしきものが天井にあるが、これは「送風機」。1980年デビューでその当時は「冷房が付いて当たり前」というほどでもなかった。その上「車両が小さくて、設置が困難」というのも相まって未だに「非冷房」のまま、今に至ってる。
逆手に取った「涼しい名物」
しかし、それを逆手に取った名物が「おしぼり」。昼間の列車では座席の一角、夕方以降は「ユーカリが丘駅」改札口にクーラーボックスが設置。誰でも自由にもらうことができる。
おしぼり
触ってみるとシャーベット状で、氷点下まで冷やされている。体感的にはかなり涼しい。
うちわ
また、「うちわ」も無料配布。こういうアイデアも鉄道を続けられる理由なのかもしれない。
沿線
沿線は「ユーカリが丘」の住宅街。進むにつれて草原や田畑も見えてくる。
シンプルな駅名
全長4㎞の地域密着ってこともあって、駅名はかなりシンプル。
「地区センター」「公園」「中学校」などいずれも近くにそれらがあることが由来。住民なら一発でわかるようなネーミングになっている。
女子大(?)駅
ただ、その中でちょっと変なのが「女子大駅」。本当は「女子大」のキャンパスを誘致する計画があって、それを見越して名付けられた。
しかし、2023年現在も誘致は叶っていない。駅名の改称にはお金が掛かることもあってか、40年もの間、そのまま。YouTubeでネタにされることもある。なお、駅前には「女子大」のグラウンドがある。
珍しい分岐
公園駅で下車してみた。
この駅の分岐の変わり方が面白い。
真ん中にガイドレールがある構造で、線路ごと分岐が変わる。モノレールではよく見られるが、新交通システムではここが唯一。この動きを見るのがオタクはたまらない。
非冷房だったあのとき
冷房がある当たり前、というより「無いと命に関わる」現代。だが、たまに「非冷房」で汗をかくのも悪くない。それに、小学校、中学校、高校ともに教室が非冷房、「コンピュータ室」ぐらいでしか涼めなかった僕。その時代のノスタルジーも少し感じられる。
真夏だからこそ乗ってみる「非冷房電車」。他のもちょっと乗ってみたい。
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